休載空けの漫画家さんのようでなにか面映い。
先日の授業で体の小さな哺乳類ほど短命である、という話をした。
恒温動物である哺乳類は体温を保つ必要がある。
小さい動物ほど、体積当たりの表面積が大きいため、体積(体重)当たりのエネルギーが必要なため、呼吸量を多くなる。その結果、活性酸素がより発生することによりになり、細胞が老化しやすくなる、という説明をした。
しかし、それでは説明のつかない例、つまり例外として、ヒトに加えてコウモリを挙げた。ハムスターは2年弱しか生きないのに対して、同じくらいの体重のコウモリは10年以上の最長寿命を持つ。
コウモリはなぜネズミほどの小型であるにも関わらず長命なのか?
(ヒトでは、おばあちゃん仮説、を紹介した)
今回は『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』インターシフト社刊、ジョナサン・シルバータウン著(寺町朋子訳)から
生物は一生に残せる子孫の数を最大にしようと進化してきた。
換言すれば、そのような生物個体が成功し勝ち抜いて現在の生物になった。
ここで重要なのが、「外部要因による成体死亡率(外的死亡率)」という概念。
単位時間内(例えば一年間)に外的要因(例えば、捕食者に襲われて命を落とす、とか)により命を落とす確率。
外的死亡率が高い環境に棲む生物は、のんびり子供を1年間に1匹ずつ産んではいられない。さっさと、短期間にたくさんの子供を残さねばならない。
いつ兵隊に取られて戦争で死ぬかもしれない境遇では、早めに結婚した方がいい。
逆に外的死亡率が低い生物はそんなに慌てて無理して子供を短期間に産まずとも、毎年少しずつ無理ない範囲で産んでゆけばよい。
こうもりは、哺乳類で唯一空を飛べるため、捕食者に狙われる命を落とす危険性が少ない。それゆえ、ネズミに比べて外的死亡率が低い。
つまり、こうもりはネズミと違って「生き急ぐ」必要がないのである。
鳥も哺乳類と同様に恒温動物であるが、小型の鳥も同様な理由で同じくらいの大きさの哺乳類よりは最長寿命が長い。
インコの仲間のヨウム(洋鵡)の最長寿命は50年という。
これは環境的要因が生物の最長寿命(老化するスピード)を左右する例と言ってよい。
つまり、最長何年生きるように設計されているか、という最長寿命は活性酸素、テロメアなどの内的要因だけで決まるものでなく、外的要因によっても大いに影響を受けるという、極めて当たり前の帰結。
樹上生物の動物も比較的、外的死亡率が低い。
ヒトは樹上生活を捨てたが、頭脳と武器により他の生物を寄せ付けない不動の地位を築いたため、外的死亡率は極めて低くなった。
人類が長寿に堪えられる設計のボディーになれたのは、外的死亡率の低さが一因と言ってよいだろう。
オッポサムでも、外敵のいない島に暮らすものは、大陸に棲むものよりも老化速度が遅く、寿命が長い。
島国の日本人が長生きも同じ理由?(笑)
言わずと知れた長寿番組
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