2013年2月4日月曜日

長生きは良いことか?(遺伝子の視点)

アンチエイジングが本当にいいことなのか?

先週の授業で老化と寿命の話しをしたが、時間が足りずにこの話題には触れられず仕舞。

遺伝子の視点から言って、生物個体が「無意味に」長生きすることはいいとは言えない。

壊れて働けない機械がずっと居座り続けたら、それは工場にとって厄介ものでしかない。

遺伝子にとって、生物は新たな遺伝子の担い手である子供を作ってなんぼ。

それができない生物個体がずっとその時空間に居続けることは、あとから育たなければならない生物の成育を阻害することになる。

森の年老いた巨木が倒れることで日が差して、空いた空間が若木で埋められる。

いつまでも年老いた巨木が森の光を独占していたら若木の生長の妨げになる。


動物にとってもいつまでも自分のおじいさん、ひいおじいさんが元気で餌場にいたら自分の餌が足りなくなる(しかし人間の場合には老人も自分の孫の成長に貢献している)。

老兵は去るのみ(人が年をとらずに定年がなくなれば会社も新人をとらなくなる)。


加えて、あまりに長い寿命は生物の進化、多様性にとってマイナスであると言える。

ライフサイクルで言えば、ウイルスやバクテリアは数十分で新しい個体をつくれるために、次々に新しい個体が出現して、それが新しい病気をもたらしている。

それに対抗するためには、我々も防御システムを進化させなければならない。

ある程度の寿命があったらばこそ、生物は環境にも病原菌にも対処できる。

1000年の寿命をもっている動物はあたかも、次々に新たな兵器を開発して現代兵器で戦をしかけて襲いかかってくる敵に対して、1000年前の武器で戦うようなもの。

勝ち目はないな、こりゃ…

古代兵器でも使う人が強ければ…
Fate/Zero、ゲートオブバビロン





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