2013年11月30日土曜日

こわい漢字(101)妖しい

このシリーズも101回。

漢字の成立ちの研究は民俗学に通じる。

「夭」(わかい)は若い巫女が踊っている姿。

今回の「妖」はそれに女偏がついたもの。



「妖艶」の「妖」はあやしい、あでやか、と読む。

「女」と「夭」であやしい、となる。

若い女の巫女はあでやかであやしく美しい、ということ。


そしてその若い巫女が死ぬと「殀」。若死にという意味になる。

歹偏(がつへん)は、残骨を表す。

例えば、「死」は歹に人を加えた形であるが、これは死者の骨に向かって人が悼んでいる姿。



その残骨「歹」に「夭」で、巫女が若くして死ぬ、つまり、若死にを意味する。


残念ながら、若い男が死んでも漢字は作ってもらえなかった(笑)

ラルさん、こんなところに登場してww
若い子向け、ガンダムビルドファイターズ

猿でも人でも

昨日のつづき

昨日はセンチュウ(線虫C. elegans)の話をした。


センチュウのある遺伝子を異常にさせると、長寿になった。

でもそれは所詮、下等な生物の話でしょ?

と思ったあなた、それが違います。

実は、センチュウで見つかっている遺伝子は我々、哺乳類にも存在し、その遺伝子の働きを操作すると遺伝子が長寿になることが分かっている。

ほんの一つの遺伝子を弄っただけで長寿になる、そんなことがあるのか?

それがあるのだ。

寿命をわざと短くしている仕掛けがある。意地悪な仕掛けが。

ネズミの場合でもラパマイシンという薬剤でTORというタンパク質の働きを阻害すると長生きになる。

同様なことは、栄養を摂る量を減らしてTORの働きを低下させると、猿の老化も抑えられる。


それは恐らく人でも。

斬っていいのは、斬られる覚悟がある奴だけだ!
キルラキル

2013年11月29日金曜日

長寿は異常

ある遺伝子の異常によって寿命の短くなる病気はいくつも知られている。

車の部品が異常になって、車の走らなくなることはよくあることだ。

「早老病」と総称される病気もそう。

しかし、どうだろう、部品が異常になって、車の性能が上がることがあり得るだろうか?

しかし拘束具的なものがあれば、それが外れると性能が上がることはあり得る。

モデル生物であるセンチュウでも、異常になることで、寿命が延びる遺伝子がいくつかみつかった。

AGE-1, DAF-2, DAF-16とか。

詳しいこれらの遺伝子の働きは触れないが、細胞の成長を促すインシュリンのシグナルを伝えるものである。

つまり、生物に枷(かせ)を嵌めている遺伝子を取り除くと、生物は長寿になる。

ということは、通常の生物はある程度のところで死ぬようにできているが、それはある遺伝子が働くから、なのである。

ここから言えることは、死は能動的な計画されたものである、一定以上の長寿はその生物にとっては「異常事態」なのである。

この計算された限界を定められた死の意味とは?
(明日につづく)

壊れた日常
Another

2013年11月27日水曜日

耐久年数

昨日のつづき

老化、寿命という表現型は非常に複雑のイベントの総体の結果であるので、その原因を一つに絞り込むことは難しく、恐らく原因は一つではなく、この結果だけで、ミトコンドリア活性酸素が寿命を規定していたと考えるのは早合点にすぎよう。

ただ、ミトコンドリアから生じる活性酸素が一因で「ネズミ」の寿命が短いことは確かなようだ。

しかし、人間でも同じとは限らない。

この実験結果は、ネズミでは活性酸素が短命の一因になっているというもの。

短命(2年)のネズミはもともと活性酸素消去酵素の活性が低い。


ここから、活性酸素消去酵素の活性が低いと寿命が短くなる、と言われる。

しかし、ここで反論したい。

寿命が短いから、活性酸素消去酵素の活性が低いのではないか、と。

一見、暴論のようにみえるかもしれないが、その理由を述べる。


家電製品の耐用年数。

家電製品、予めどのくらい使われるか、という目算があり作られている。

例えば、パソコンは日進月歩で発達しているため、4年も使えばもう新しいものに買い替えを考える。

そうなると、メーカーも何十年も故障なく使えるような製品をつくるより、ある程度早く寿命がきてもいいから、その分、安い部品を使って製品原価を安く上げたい、となる。

ネズミの場合も、そうなっている。

予め、2年の命、というものが設定されているために、手厚く、細胞が体が活性酸素から守られていないのだ。

つまり、寿命を2年と設定されているネズミにとって、寿命をそれ以上、勝手にのばされるのは、大きな迷惑なのだ。

長い進化の過程で動物の寿命は最適化されている筈。

エヴァ、耐久年数が長い件(笑)

2013年11月26日火曜日

ミトコンドリア性悪説

今日から、老化の話を少々。

老化の仕組みを説明する仮説はいくつかある。

そのうちの最右翼は「活性酸素による老化」である。

生物は、しばしば車に例えられる。

車は使えば傷む。

人も生きていれば細胞が傷む、というもの。

その傷みの原因の主要因と目されているが「活性酸素」。

酸化力の強い活性化した酸素分子種のことで、小学校で習う過酸化水素(H2O2)も活性酸素の一種。

この活性酸素の出所の90%はミトコンドリアである。

ミトコンドリアの呼吸鎖で酸素が使われるが、そのうち数パーセントが活性酸素になってしまう。

つまり、生物が生きるために呼吸をすることにより、不可避的に細胞が傷む。

これが細胞の老化を引き起こし、個体の老化へとつながる。

そしてその先に細胞の死、ひいては個体への死が待っている。

生きることが死へのカウントダウンになっているという、なんとも皮肉なシステムなのである。

この「ミトコンドリア活性酸素性悪説」を検証するために、ミトコンドリアの中で発生する過酸化水素を消去するカタラーゼを強化したマウスをつくった。

そうしたら、そのマウスが長生きすることが明らかになり、この仮説が支持された。
(明日につづく)

息をもつかせぬアニメには、呼吸が止まり長生きする効果が(・∀・)ノ
キルラキル、絶賛放映中!!

2013年11月25日月曜日

裏切り者は許さない!(つづき)

先日のつづき

複数のオスと交尾する女王をいただくミツバチでは、ワーカー同士が監視し合って、抜け駆けで卵を産んでもそれを排除する。

それは血縁度から説明できた。

女王が産んだ弟 > 異父妹の産んだ甥

しかし、この話はミツバチのように女王が複数のオスと交尾するアリやハチの種では成り立つが、女王が一匹のオスとしか交尾しない種類のハチやアリではこれでは説明できない。

なぜならば、妹の産んだ甥の方が女王が産む弟より血縁度が高いから(甥 > 弟)。

そのため、これは群選択説の助けを借りて説明せなばなるまい。

ワーカーが全員、卵を産むようになればコロニー全体の生産性が悪くなり、そのような進化が起らなかったのではないかという仮説である。

恐らくは、ワーカー産卵抑制の原因としてはこちらが大きいと思われる。

さらに疑問なのは、なぜそうであるならば、ワーカーをはじめから不妊にするような進化をミツバチは遂げなかったかである。

ワーカーが不妊なら、最初からワーカーの産卵問題は起きなかった筈。

事実、完全なクローン集団を形成しているキイロヒメアリのワーカーは卵巣をもたず不妊(徹底的に集団内の裏切り行為を抑制しているようにみえる)。

恐らくは、ワーカー(姉妹)が不妊でない積極的なメリットが何かある筈だ。

例えば、女王が死んだときに、ワーカーが代わりをするとか…

なかなかEVAに代わるインパクトのある作品はない

2013年11月24日日曜日

こわい漢字(100)匿す

昨日のつづき

「若」は若い巫女が手を挙げてご神託を仰いでる形だった。

その「若」が「匚」(はこがまえ)に入っている形が「匿」、かくす。

匿名の匿。

「匚」は周囲を囲われた秘匿された場所。

その場所で巫女が密かに祈禱行うことが、「匿」。


隠れて行うということは何か後ろめたいことをしている。

つまり、神に祈って呪詛を行っている。楽しそうな顔を巫女はしてるが。

人間が匿れて生きる社会
進撃の巨人

2013年11月23日土曜日

こわい漢字(99)若い

「夭」(ヨウ、わかい)は若い巫女がエクスタシーに酔って踊っている姿。

現在、これを「わかい」という漢字で使うことは少ない。通常は「若」を当てる。

実は、この「若」も若い長髪の巫女がエクスタシー状態で手を挙げ神託を仰いでいる姿。

上に挙げられている手が後世になって草かんむりに変化した。

それに祝詞を入れる器「口」(サイ)が加えられた。


「若」の読みに「若し(ごとし)」があり、かくの若し、と使う。

これは「神意をそのままに伝える」ということからきた読み。

それに答えて、神が答えてくれる。

それが「諾」。

言偏の「言」は「口」(サイ)の上に大きな針を乗せて、神前で「嘘をついたらこの針で入れ墨をしてもらってもかまいません」と誓って祈る行為。


「唯々諾々」(いいだくだく)の、「唯」も「諾」も返事をするという意味だが、古代中国殷の「唯」は日本語の「はい」、「諾」は「はーい」に相当したらしい。

『礼記』には「父命じて呼ぶときに、唯して諾せず」とある。

父に呼ばれたときには、「はーい」じゃなく「はい」と短く返事をしましょうということ。

昔の父も威厳がなかったから、ルールブックをつくって権威付けをしてたようだ(笑)


パイロット全員14才、若!

2013年11月22日金曜日

裏切り者は許さない!

昨日のつづき

アリのコロニーでも裏切り者が出現したらコロニー全体の効率が落ちてコロニーが衰亡する。

そのため、アリ社会でも裏切り者を許さないシステムが存在する。

ミツバチの場合には、働きバチ、ワーカーがたまに卵を産むことがある。

しかし、そのワーカーの産んだ卵は他のワーカーによってすぐに取り除かれて(食べられて)しまう。

それは血縁度から説明することができる。

メス女王バチは二倍体(2n)であるが、オスは一倍体(1n)である。

女王がオスとの間に産む産む受精卵は全てメス(時期女王とワーカー)になり、未受精卵がオス(次期王)となる。

そのため、女王が産む姉妹は、母からは同じ遺伝子を受け継ぐ確率は0. 5であるが、父の遺伝子はまるまるもらっているために同じ遺伝子を受け継ぐ確率は1。

そのため、女王が産む姉妹との血縁度は(0. 5 + 1)÷ 2 = 0.75 となる。

しかし、ミツバチの女王は複数のオスと交尾するため、もし父親が違うと、その時の姉妹との血縁度は(0. 5 + 0)÷ 2 = 0.25 となる。

ワーカーからみた血縁度は次のようになる。

女王         0. 5

自分が産む息子    0. 5

女王が産む妹     0. 75
女王が産む異父妹   0. 25
女王が産む弟     0. 25

妹が産む甥            0. 375
異父妹が産む甥    0. 125

*ワーカーはオスと交尾することがなくメスになる卵を産まないとする。

そのため、血縁度を比べると、

妹 > 息子 > 甥 > 異父妹 = 弟 > 異父妹の甥

となる。

そのため、異父妹の甥なんかを育てさせられるくらいなら、女王の産んだ弟を育てる方がましだ(弟 > 異父妹の甥)。

ということで、他のワーカー(妹)の産んだ卵は駆逐される。

当然、自分がこっそり産んだ卵も始末される。

このようなワーカー同士の監視の目が、裏切り者を許さない。

この議論は、甥と異父妹の甥と区別できないことを前提にしている。

なぜならば、もし区別できるのであれば、甥 > 弟 > 異父妹の甥、なのだから、甥になる卵は積極的に排除する理由がなくなってしまうからである。

女王は、複数のオスと交尾するという事実を利用してワーカー同士を監視させている、と考えてもよいかもしれない。

サイコパス、まだみてない(´・ω・`)



2013年11月21日木曜日

集団の裏切り者、がん。

生物個体を構成する全ての細胞は遺伝子を後代に残せる生殖細胞と、残せない体細胞からなる。

生物個体を構成する全ての細胞も元をたどれば一つの受精卵から発生、分化したものであるから、遺伝的にみれば同一であり、裏切り者もださず協力して自分の遺伝子を残すという任務にあたることができる。

自分が残さなくても、他の細胞が遺伝子を残してくれれば、それは自分が残したことと同じであるから。

そのため、生殖細胞は安心して自分の遺伝子を残すし、体細胞は安心して生殖細胞がそれに専念できるように裏方から支える。

それが多細胞生物の実情である。

しかしその中にあって、がん細胞は多細胞生物の裏切り細胞である。

手足の筋肉細胞は動物が移動するため、ものを口に運ぶため、日夜働いている。

心筋細胞も日夜、全身に血液を送り届けている。

自分の本分をしっかり弁え、与えられた仕事をしっかりこなしている。

しかし、がん細胞は、自分勝手に増殖し、自分の遺伝子のコピーをふやすことだけしか考えない。

そしてその結果、多細胞に回る筈の栄養を横取りして、正常な細胞の働きを妨げ、最終的には個体全体を死へと導く。

しかし、その個体の死によりがん細胞も潰える。

まるでアリの集団の中に出現するフリーライダー(只乗り)が最終的にはアリのコロニーを自滅に追いやるかのようだ。

ヒトの場合には免疫系により日々出現しているがん細胞はやっつけられている。

つまり、ヒトの体においても、フリーライダーの出現に対してちゃんと対策をとっているのだが、残念にもその監視の目をかいくぐってしまったものががんになるのだ。

アリのコロニーでもこのフリーライダー、裏切り者は厳しく監視されている。
(明日につづく)

ルルーシュもかなり自分勝手なヤツだったが
生存説が根強いのは、死なすには惜しいヤツだったということか


2013年11月20日水曜日

メスとオスの血が混じらないアリ

クローンアリの話のつづき。

今回取り上げるアリはさらに特殊。

それはコカミアリとウメマツアリ。

ウメマツアリ

昨日紹介したヤマトシロアリは、女王アリはオスの遺伝子を入れずに、自分のクローンである次期女王アリの卵を産む。

コカミアリとウメマツアリも、自分の遺伝子のみからなる未受精卵が次期女王アリになる(オスの遺伝子は入らない)。

自分の遺伝子にオスの遺伝子を混ぜるのは、次世代に王になるオスの卵を産む時と子供をつくらないワーカーの卵を産むときのみ。

この仕組みを採用している遺伝子からみたメリットとしては、自分の遺伝子は100%子供に伝えることができると同時に、ワーカーには遺伝的多様性が確保でき、病気によるコロニーの全滅回避、分業のしやすさを担保できる、ということにあろう。

しかし、オスもさるもの。

仕組みは不明だが、受精卵のうちでオスアリ(将来、王になる)になるものは、発生の過程でメスの遺伝子が消されてしまい、オスのクローン(ホモ接合体)が生まれる。

そして、子供を作らないワーカーには、オスメスの遺伝子が混ぜった受精卵が使われる。

まとめると

女王アリ  母の遺伝子のみ受け継ぐ
王アリ   父の遺伝子のみ受け継ぐ
ワーカー  父母の遺伝子を受け継ぐ(子供は産めない)

つまり、メスとオスは交尾し受精も行うが、両者の血(遺伝子)は将来引き継がれる子供の中では混じり合わない。

つまり、お互い、遺伝子をやりとりすることがなく、あたかも別種の生物のように異なる遺伝子を持つ。

オスにとっても、メスがその気ならこちらにも考えがある的な対抗手段を発達させたものと考えられる。

オスとメスの争いは全ての生物の悩みの種か(笑)

何を願うか、悩むなぁ

2013年11月19日火曜日

不思議なクローン繁殖するアリ

キイロヒメアリやハキリアリの一種はコロニーのメンバーは全て女王のクローンである。

オスはいない。

ハキリアリ

特殊なクローン繁殖するアリが他にも見つかっている。

ヤマトシロアリは、女王はオス(王)と交尾して子供をつくるが、その際に、通常の受精卵が育つとワーカー(遺伝子は残さない)になる一方で、将来、女王に育つ娘(メス)には王の血(遺伝子)は入れない。

つまり、未受精卵の染色体が倍加して二倍体(ホモ接合体)となりそれが将来、遺伝子を残す女王になる。

つまり、女王にしたら自分の血を薄めることなしに次代の女王を産める。

女王自身もホモ接合体なので、結果的には自分のクローンが代々産まれて遺伝子の器たる生物個体は滅んでも遺伝子自身は不死である。

一方、オス(王)からすれば、将来女王になるメスアリには自分の遺伝子は伝わらない。

自分の遺伝子が残せるのは、女王との間にうまれた将来王になるオスアリのみ。

オスにとっては是非ともオスを産んでくれ、というところだろうが、オスメスの産み分けは女王がやっているので自分は口を挟めない。

キイロヒメアリのように、オスが完全に消されてしまうよりはまだましか(苦笑)

消したいヤツがいれば連絡を

2013年11月18日月曜日

クローン集団を形成する社会性アリの落とし穴

先日のつづき。

キイロヒメアリの女王は、オスと交わらずに、単為生殖で自分と遺伝子の同じクローンであるところのワーカーを産む。それも、生殖能力のないワーカーを。



完全にワーカーは遺伝子的には自分なので、そこでは自分のロボットとして自分に奉仕するワーカーが出現する。

その社会においては、異なる遺伝子間の対立もなければ、社会にただ乗りしようとする裏切りの遺伝子の出現を極力防ぐことができる。

しかし、そんなに優れたシステムであれば、多くのアリの種類がそのようなシステムを進化の過程で採用していても良さそうだが、実際のところは、このようなクローン集団を形成するアリは数種類しかみつかっていない。

それはなぜか?

恐らく、クローン集団はクローン集団ならでの泣き所があるのだと考えられる。

(1)病気に弱い
クローン集団は病気に弱く、いったん、病気がはやるとみんな同じ遺伝子なので全員がその病気にかかり全滅する危険性が高い。

(2)分業に問題
遺伝的に多様性がないため、仕事に対する閾値が同じであるため、全員一緒の行動に初めて、全員がいっぺんに疲れてしまう。通常の遺伝子の異なるアリ集団では、個体個体で仕事に対する閾値が違うため、働きに貪欲なアリもそうでないアリもいて、仕事量に対する働き手の量がうまく調節されている。

しかし(2)に関しては検討が必要である。

なぜならば、近年注目されている「エピジェネティクス」の観点から言えば、同じ遺伝子をもっている個体でも遺伝子の発現を調節することにより、表現型に多様性を出すことは可能であるから。

http://ushitaka7.blogspot.jp/2012/05/blog-post_4854.html

一卵性双子でも、行動パターンが違うように。

この問題は今後の課題だ。

私が死んでも代わりはいるもの…
遺伝子が同じでも同じじゃない!w

2013年11月17日日曜日

こわい漢字(98)夭、わかい

古代中国殷では、呪術担当の巫女が大活躍した。

今回も巫女関係の字。

「夭」、わかい、と読む。

「夭逝」(ようせい)、「夭折」(ようせつ)は若くして死ぬこと。

この字は若い巫女が呪術の際にエクスタシーに身をくねらせて踊っている様。



そのため、「くねらす」という意味もある。

この「夭」を使ったよく知っている字が「笑」。

これはさらに、両手を上にかざして笑いながら踊っている姿。


笑えるアニメ
絶望先生




2013年11月16日土曜日

こわい漢字(97)懲らしめる

先日の「微」は道で巫女を棒で打ち据えている形だった。



今日、紹介するのは「微」によく似ている「徴」。

ここでの「王」は「壬」(ニン)であり、人が立つ姿。

その上の「山」は長髪のかたち。

つまり、この「徴」は長髪の人間を道で棒で打ち据えている形。


この長髪の人間は、はやり巫祝か巫女である。

棒で打ち据えることで呪術的な能力を発現させて敵をやっつける。

その能力が現れることが「徴」。

さらにその「徴」に「心」を加えて「懲」(こらしめる)。

これは、その発動された呪術的な能力で敵を懲罰することを示している。


心をつけたのは、棒で叩く人の心の痛みからだろうか(笑)

魔女を懲らしめるために魔法少女になった筈なのに
まどマギ

2013年11月15日金曜日

完全無欠のクローンのアリ集団

昨日の粘菌は周りにいたクローン細胞が集まって胞子体を形成する。

アリの集団でも、全くのクローンの集団が知られている。

キイロヒメアリ。


キイロヒメアリのワーカー(働きアリ)は遺伝的には女王のクローンであり卵巣を失っている。

つまり、ワーカーは自分では遺伝子を残せない体細胞のようなものである。

一方、女王は自分の遺伝子を残す生殖細胞のようなもの。

つまり、キイロヒメアリの場合には、コロニーが一つの生物個体のようなものなのである。

すると、生物個体の中で体細胞が反乱を起こさないように、コロニー内でもワーカーによる反乱は起きない。

このように、均一のクローン集団からなるコロニーにおいては、遺伝的な対立が起りにくく、フリーライダーは現れにくい。

クローン集団が優れているのであれば、ではなぜ群れをつくる全ての生物はこのようなクローン集団にならないのか?
(つづく)

とミサカはミサカは質問します。
レールガン

2013年11月14日木曜日

みんな自分(^o^)/

昨日のつづき

細胞性粘菌は、栄養源飢餓に陥ると、沢山の細胞が集まって、胞子体をつくる。

その胞子体は、子孫を残せない柄細胞と子孫を残す胞子細胞に分化する。

誰だって、自分の遺伝子を残したい。

しかしみんながみんな、胞子細胞になるわけにはいかず、どうやって貧乏くじを引く細胞が選ばれるのか?

実はそんなに真剣に悩む必要はないのである。

何となれば、実は全ての細胞は自分なのである。

細胞分裂で増えて、栄養源飢餓になると集合する。

となれば、周りにいるほとんど全ての細胞は元は一つの細胞由来の細胞で、自分のクローンなのである。

クローンと言えば綾波だが、クローンにしては笑

つまり、誰が傘細胞になろうが、自分の遺伝子が後世に残せることにはかわりがないのである。

それは、我々、多細胞生物の状況と似ている。

多細胞生物は多くの細胞集団からできているが、その中には子孫を残す生殖細胞(精子や卵子)と残せない体細胞に分化する(われわれの体のほとんどの細胞は体細胞。脳も心臓も含めて)。



体細胞が反乱を起こして、全員、生殖細胞になろうとすれば、生物個体としてはやっていけない。

全身精巣、全身卵巣の化け物になってしまい、動くことも餌をとることすらできない。

しかし、全ての細胞は一つの受精卵から分裂して増えた子孫であるため遺伝子は共有している。

そのために体細胞は子孫を残せないものの、自分の遺伝子は生殖細胞がきっちり残してくれる。

なので、体細胞も自分の境遇に甘んじて縁の下の力持ちとして、生殖細胞に運命を託すのである。

それと同様なことが、原始的な条件付き多細胞生物と言える粘菌でも起っているのだ。

自分のクローンに遺伝子を残す作業を託すのだ。

ガンダムUCは後世にのこる



2013年11月13日水曜日

ねんきん暮らし(・∀・)ノ

昨日のつづき

細胞性粘菌。

ナウシカにも登場している。

なんかちがう

粘菌は、普段はアメーバのように一つ一つの細胞がバラバラに生活しているが、栄養が少なくなると(飢餓になると)、細胞同士が集まり始める。

そして、柄と傘にからなるキノコ的な構造体を形成する。

そして、傘の部分は胞子嚢(ほうしのう)と呼ばれ、胞子がつくられ、その後胞子を飛ばす。

胞子は栄養源飢餓時を仮死状態(植物の種と同じ)で生き延び、栄養源がまた得られるようになると発芽してまた細胞増殖を始める。

つまり、粘菌にとって、栄養源飢餓時に胞子を作らないとその厳しい時期を生き延びられないのである。



細胞の中には、柄になる細胞と、傘になる細胞が自然とできる。

ここで問題なのは、傘になる細胞はそこで胞子になって子孫(自分の遺伝子)を残せるが、柄になる細胞は子孫を残すことができない。

つまり、柄になるということは、利己的な行動を排した、真に利他的な行動なのである。

じゃ、みんな傘になりたがるんじゃね?

しかし、そうなると柄の成り手がいなくなって、遠くまで胞子を飛ばすことができなくなり結局、集団全部にとってマイナスになる。

では、この矛盾を粘菌の集団はどのように解決しているのか??
(明日につづく)

ナウシカは是非コミックを見て欲しい(^o^)/


巨神兵


こちらはラピュタ、ロボット兵、お間違えなく


2013年11月12日火曜日

裏切り者の出現と社会の衰亡

社会が発達すると、そのシステムを利用してただ乗りをしようとするやつが出現する。

自分は働かずに利益だけをむさぼろうとする。

そのような者を英語では「フリーライダー」という(まんま)。

このフリーライダー自身は、他の個体より利益をあげるため、進化的には有利になるため、そのようなフリーライダー的な遺伝的変異をもった個体が集団内に出現すると、集団中にあっという広まる。

しかし、フリーライダーが増えすぎてしまうと社会が崩壊する。

人間社会で言えば、みんなが働かず、税金も払わなくなるようなもの。

実は、観察するとアリの社会にもそのような裏切り者(全く働かないもの)がいる。

自分は労働せずに卵を産み続けて、自分の産んだ卵を他の働きアリに育てさせる。

ではそのようなフリーライダーは上で見たようにはびこる筈なのに、なぜそうならないのか?

実は、フリーライダーが徐々に増えるとそのコロニーはやがて衰退し、他のコロニーにとって変わられるようだ。

しかし、またフリーライダーがいなかった集団中にそのうちフリーライダーの遺伝子変異が出現して、またその集団も滅びる。

どうやら、そういうことがアリの社会では繰り返されているようだ。

ようだ、というのもまだこれをアリの社会で長いスパンで追跡調査した研究がないからだ。

その代わりに細胞性粘菌という生物では上記のような例が見つかっている。


細胞性粘菌

細胞性粘菌も社会生物学に適したモデル生物である。
(明日につづく)

ライダー、Fate/Staynigth


2013年11月11日月曜日

血縁はなくとも協力はできる!(・∀・)ノ

アリやハチのコロニーは全員血縁者である。

血縁がある者同士が助け合うのは、自分の遺伝子を残すのに有利であるからだ。

ハミルトンが唱えたその説が「血縁選択説」である。

では、人間のように血縁がない者同士で社会共同体をつくるのはなぜか?

地域の集団であったり、会社であったり。

その場合にも、もちろん、個々人にメリットがあるからこそ協力するわけだ。

会社で働くのはいやだが、金をもらえるから働く。

そのように、群れをつくることにより各個体にメリットがあると、それが社会性の進化につながるという説が「群選択説」である。

アリ、ハチのように血縁がある集団では、「血縁」と「群れること」の両方のメリットにより社会性が発達したと考えてもよい。

もちろん、群れて戦うのもメリットがあるから(笑)

2013年11月10日日曜日

こわい漢字(96)微、巫女を棒で打ち据える

今回も小山鉄郎『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』から。

最近、紹介した「而」。

これは頭頂部の髪を切り落とした人を正面からからみた形だった。



それに関連する字が「兀」(コツ、はげる)


この兀も巫祝のこと。

この「兀」が入っている字が「微」。

「兀」の上の「山」は髪飾りであり、つまり髪飾りをつけた巫祝、巫女を表している。

「攵」(ボク)は「攴」(ボク)と同じく、木の枝を手にもっている形。

「彳」は道を表している。

つまり、「微」は道で巫女を木の枝で打ち据えている形。


これは巫女を懲らしめているのではない。

戦争の際には、巫女が前線に立って、敵方に呪いを送った。「負—け—ろ——!!」的な。

その敵の巫女から送られてくる呪いは当然巫女にも浴びせかけられる。

巫女がその呪いを受け止める役目も受け持っていた。

その敵方から送られてきた呪いを棒で叩くことで、まさしく叩き出した。

布団叩きと同じ原理で(笑)

それにより、敵からの呪いを弱めた。

そのため、よわめる、衰微させる、かすかにさせるという意味になった。

叩かれる巫女はたまったものではないだろうけど…

ランサー、かわいそうにこのあとかそけくなりました。
Fate/Zero