昨日のつづき
アリのコロニーでも裏切り者が出現したらコロニー全体の効率が落ちてコロニーが衰亡する。
そのため、アリ社会でも裏切り者を許さないシステムが存在する。
ミツバチの場合には、働きバチ、ワーカーがたまに卵を産むことがある。
しかし、そのワーカーの産んだ卵は他のワーカーによってすぐに取り除かれて(食べられて)しまう。
それは血縁度から説明することができる。
メス女王バチは二倍体(2n)であるが、オスは一倍体(1n)である。
女王がオスとの間に産む産む受精卵は全てメス(時期女王とワーカー)になり、未受精卵がオス(次期王)となる。
そのため、女王が産む姉妹は、母からは同じ遺伝子を受け継ぐ確率は0. 5であるが、父の遺伝子はまるまるもらっているために同じ遺伝子を受け継ぐ確率は1。
そのため、女王が産む姉妹との血縁度は(0. 5 + 1)÷ 2 = 0.75 となる。
しかし、ミツバチの女王は複数のオスと交尾するため、もし父親が違うと、その時の姉妹との血縁度は(0. 5 + 0)÷ 2 = 0.25 となる。
ワーカーからみた血縁度は次のようになる。
女王 0. 5
自分が産む息子 0. 5
女王が産む妹 0. 75
女王が産む異父妹 0. 25
女王が産む弟 0. 25
妹が産む甥 0. 375
異父妹が産む甥 0. 125
*ワーカーはオスと交尾することがなくメスになる卵を産まないとする。
そのため、血縁度を比べると、
妹 > 息子 > 甥 > 異父妹 = 弟 > 異父妹の甥
となる。
そのため、異父妹の甥なんかを育てさせられるくらいなら、女王の産んだ弟を育てる方がましだ(弟 > 異父妹の甥)。
ということで、他のワーカー(妹)の産んだ卵は駆逐される。
当然、自分がこっそり産んだ卵も始末される。
このようなワーカー同士の監視の目が、裏切り者を許さない。
この議論は、甥と異父妹の甥と区別できないことを前提にしている。
なぜならば、もし区別できるのであれば、甥 > 弟 > 異父妹の甥、なのだから、甥になる卵は積極的に排除する理由がなくなってしまうからである。
女王は、複数のオスと交尾するという事実を利用してワーカー同士を監視させている、と考えてもよいかもしれない。
サイコパス、まだみてない(´・ω・`)