2014年3月8日土曜日

ブログ休載のお知らせ

年度末の残務整理のため、3月いっぱいブログの更新をお休みします(´・ω・`)

新年度になりましたらまた開始します (・∀・)ノ

今後ともよろしくお願い致します m(_ _)m

ハルヒの休載ほどには休みませんw

ポリネシア人はヨーロッパ人の子孫

ミトコンドリアDNAが母系で伝わるのに対して、Y染色体は父系で伝わる。

そのため、母系と父系が違う場合があるときには、その人のミトコンドリアDNAとY染色体(男性だけがもつため男性に限るが)の違いからそれが明らかになる。

ポリネシア人を調べた場合に、母系からは全く検出されなかったヨーロッパ人の遺伝子が父系から1/3も検出された。

その当時、船乗りは男ばかりであった。船乗りはポリネシアで現地の女性との間に子供を残したということだ。

力ずくというより、進んで娘をヨーロッパ人に差し出したという記録もあるようである。

その他にも、ペルーの純血インディアンと自分で信じている人たちの遺伝子の母系の95%は確かにアメリカンインディアンだったのに対して、 父系の50%はヨーロッパ人のものであることが判明している。

さらに、コロンビアでは母系の90%がアメリカンインディアンだったのに対して、父系の94%がヨーロッパ人のものであった。

ヨーロッパ人の男性が力ずくで女性をものにしたか、もしくはモテモテで、ほとんど当時の現地人の男性は自分の遺伝子を残せなかったということだ。

ある時、モテる男性が現れるとこのように子孫の遺伝子が一挙に偏ることになる。

ちなみに、ハーレムをつくるゾウアザラシの場合には4%のオスしか次世代に残せないという。

男の25人に一人しか子供を残せない勘定だ。

シビアな世界…

子孫を残せるか、よりも生き残れるかのシビアな世界
BTOOOM!

2014年3月6日木曜日

生き残るのは片方だけ

遺伝子は、子孫に「多様性」というプレゼントを贈るために、面倒な有性生殖を行って遺伝子をシャッフリングし、また染色体同士も減数分裂時に組換えを行う。

しかし、有性生殖で得をするのは常に核にある遺伝子だ。

細胞中には核の他にもミトコンドリアがもつ遺伝子がある。
(植物の場合には、葉緑体の遺伝子も存在する)

ミトコンドリア遺伝子は配偶子(精子や卵子)が接合した後にも、別々のミトコンドリアの中に存在するDNA同士は寄り添うこともなければ、組換わることもない。

むしろ、配偶子が接合した後、ミトコンドリアのDNA同士が相手を殺し始める(DNA分解酵素を相手のDNAに浴びせかける)。

以前このブログで取り上げたが、核DNAはつきあうミトコンドリアDNAを一人と決めている。

つまり、ミトコンドリアDNAは核DNAのパートナーとなるために、生き残りをかけて戦うのである。

まるで、女性を巡って決闘する男性のように。

昨日のクラミドモナスでは、戦いで95%のミトコンドリアDNAが分解されてしまう。

もし、双方のミトコンドリアDNAの力が五分五分なら、相打ちになってしまうかもしれない。

これでは、ミトコンドリアDNA自身のためにもならないばかりか、核DNAにとっても困った事態なのである。

核はそうならないために、どちらかのミトコンドリアDNAが有利になるように肩入れする(例えば、最初から接合時に持ち込まれるミトコンドリアDNA量をアンバランスにするとかで)。

それが「性」だ。

つまり、核に味方してもらってミトコンドリアDNAを残す方の性が「メス」、ミトコンドリアDNAを残せない方の性が「オス」と呼ばれている。

異型配偶子をつくるヒトでは、精子は受精時にミトコンドリアDNAを卵子に持ち込めない。

入るのを許可されるのは核のDNAだけだ。

これをみても、現在の細胞のシステムは核DNAの「オレ様」状態なのだ。

オレ様、千秋さま
のだめ
なつかしいw

なぜ2つの性があるのか?

精子をつくるのがオス、卵子をつくるのがメス。

このように受精するもの同士を配偶子という。

配偶子の中には精子と卵子のように形の大きく異なる「異型配偶子」がある一方で、見た目、同形の「同形配偶子」もある。

コナミドリムシ(クラミドモナス)は同形配偶子をつくり、さらに配偶子の形で細胞増殖することができる。


しかし、栄養が少なくなると異なる性の個体と接合して、胞子をつくろうとする。

同形なのに、なぜ色がついているのか?

同形ならば、どの個体と接合しても同じじゃね?

確かに「核の染色体の遺伝子」に関しては、性別が必要な要素はない。

わざわざ「核の染色体の遺伝子」と言ったのは、そうでない遺伝子に関しては、実は性別が必要だと考えられている。
(つづく)

同じ性で結ばれるBL
コードギアス

2014年3月4日火曜日

双子の一人はいなかったことに

バー小体、カナダの研究者マーリー・バーが発見した。



1949年、彼はネコの神経細胞を観察していたところ、細胞核内に黒い斑点が見られることに気がついた。それもメスネコの細胞だけに。

その後、ヒトでも女性の細胞だけにそのバー小体が見つかった。

女性細胞のバー小体

後年、そのバー小体は不活性化したX染色体であることが分かった。

http://altair.sci.hokudai.ac.jp/infgen/nsmb2013/


女性の細胞にはX染色体が2本ある。

そのうちの1本が不活性化することで、X染色体は1本しか使われないことになる。

このため女性の細胞中でも、もともとX染色体を1本しかもたない男性の細胞と同じく、細胞で使われるX染色体は1本になる。

染色体の数が1本多いだけで致命的になることは、ダウン症候群をみれば分かる。

つまり、X染色体の数合わせのために女性細胞のX染色体は眠らされるのである。

さらにマーリー・バーは、興味深いことを見つけた。

クラインフェルター症候群のヒトの核にもバー小体を見つけた。

クラインフェルター症候群の患者さんは、XXYの性染色体を持つ。

異常なXXをもつ卵子にY染色体をもつ精子が受精したためだ。

その場合には、Y染色体をもつが男性になるが、XXのうちの1つが不活性化する。


ただ、クラインフェルター症候群の男性は、女性的な特徴が第二次性徴時に現れることもある。

見崎鳴と藤岡未咲
Another

2014年3月2日日曜日

こわい漢字(128)鸛(コウノトリ)

このところはずっと、小山鉄郎著『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』から、「力」に関係する漢字をずっとみてきた。

ありがたいことに農業の鋤を表す「力」ゆえ、戦、呪、死に関係するものはない。

今回は「勧」(正字は「勸」)。

偏はコウノトリ(鸛)を表す。


コウノトリと「力」の合体した「勸」の意味は?

古代中国殷ではコウノトリは神の使いと考えられていた。

コウノトリを用いた鳥占いに従い農作業を「すすめた」。



関連語に「観」(正字は「觀」)。

こちらは、鳥占いで神意を詳しく観察することから「みる」の意味に。


さらに「歓」(正字は「歡」)。

旁の「欠」(ケン)は口を大きく開けた人を横から見た形で、あくびのこと。

「欠伸」と書いてあくびと読むことからも分かろう。

「欠席」の「欠」は「缺」の略字で別の字。

「歓」は鳥占いのコウノトリに向かって口を大きく開けて、声を出して祈ることを表す。

その結果、その祈りが通じて良い結果に「よろこぶ」意味になった。



かならず観る!(・∀・)ノ
大喜び!ww

2014年3月1日土曜日

こわい漢字(127)励む

「刻苦勉励」、心身を苦しめて仕事や勉学に励むこと。

「励」(正字は「勵」)の偏は砺(正字は礪、といし)。

これに「力」(鋤)を加えて、石の多い荒れた土地を耕す意味が「励」。

当然、耕すに骨が折れ、たくさん励まなければならないため、はげむ、つとめる、の意味になった。



ここまで、多くの「つとめる」という漢字をみてきた。

「努める」、「勤める」、「務める」、「勉める」、そして「励める」。

すべて、「力」が文字の中に入っている。

農耕が人間を「勤勉な動物」に仕立て上げた。

農耕が人間の生活をせっかちにした元凶だ(笑)

もちろん、励めばそれだけ豊作になり、豊かになる。

アニメ業界のみなさんのおかげで、今期アニメは豊作ww

ウィザードバリスターズ-弁魔士セシル

ウィッチクラフトワークス

世界征服~謀略のズヴィズダー~

ノブナガン

ノラガミ

魔法戦争

バディ・コンプレックス

キルラキルも相変わらずの絶好調!

2014年2月28日金曜日

3本だとまずい

昨日のつづき

染色体をちゃんと分離して観察する手法が確立でき、それによりヒトの染色体数がちゃんと確定した。

すると、ある病気をもつ人は異常な染色体数をもつことが分かってきた。

それがダウン症候群。

第21番染色体が1本余分にある、つまり3本ある病気(トリソミーという)。



常染色体(性染色体ではないもの)は大きい方から1から22まで番号がつけられているから、第21番染色体と言えば小さい方から2番目の染色体。

つまりあまり遺伝子を持っていない染色体。

ダウン症より深刻な染色体数異常による病気としては

第13染色体 エドワーズ症候群
第18染色体 パトー症候群

が知られているが、どちらも生後間もなく死んでしまう。

そのくらい、染色体数が増えてしまうことは細胞にとっては致命的なのだ。

その他の染色体の異常をもった赤ちゃんはいないのか?

例えば、第1番染色体が3本ある人の病気とか。

いない。

なぜならば、産まれる前に流れてしまうからだ(生まれることすらできないくらい致命的)。

大きい染色体にはたくさんの遺伝子が存在するために、より遺伝子数のアンバランスが際立ってしまうからだ、と考えられる。

逆に染色体が1本少ない「モノソミー」の病気はどの常染色体でも確認されていない。

少ないのはより致命的で流産になってしまう。

2本あるものが1になるのと、3になるのでは、1になる方が2よりも比率的に大きくずれるから。

他の染色体の数とのバランス、つまりそれぞれの染色体からつくられる遺伝子産物の量のバランスが重要なので、それが崩れると細胞の機能が保てない。

流産の多くはこのような染色体異常が原因と考えられている。

週にアニメの3本くらいなら全然問題ないのに…

2014年2月27日木曜日

昔、人の染色体は48本だった?

モーガン達がショウジョウバエで染色体の研究を進めていた横で、ヒトの染色体の研究はあまり進んでいなかった。

それでも今から100年ほど前の1912年、オーストリア人のハンス・フォン・ヴィニウォーターがヒトの組織を観察して、男性には47本、女性には48本、染色体を発見したことを報告した。

ハンス・フォン・ヴィニウォーター

もちろん、男女とも46本、が正解。

どうして、彼が数え間違えたのかは謎のままである。

どんなゴミを見誤ったのか?

ショウジョウバエ8本に対して、ヒト46本!

ショウジョウバエに比べて、数が多い分、数えミスが起きやすかった。

実はヒトの染色体数がちゃんと数えられるようになったのは、染色体をバラバラに散らす処理方法をT. C. スーが1940年代に確立できたことによる。

ヒト染色体
46本あるか、数えてみよう(笑)



シダの約1200、って数えるの放棄したな、こりゃ(笑)

その後、40年近く、この数(男性47本、女性48本)が信じ続けられていたというから驚き!

1956年に、植物細胞学者のスウェーデンのアルバート・レヴァンが、実は46本であると報告するまでずっと。

植物細胞学者だからこそ、既成概念にとらわれずに間違いを指摘できたのだ!

既成概念にとらわれず見れば楽しいアニメ
さよなら絶望先生

2014年2月26日水曜日

昆虫の性の決定法

昆虫の

オスはXY
メスはXX

この時、

(1)Xが2つあるとメスになるのか
(2)Yをもつとオスになるのか

ふたつの可能性が考えられる。

ちなみに哺乳類の場合には後者。

モーガンたちはこれを調べるに当たり、染色体異常のハエに着目した。

ヒトの場合にも、女性の減数分裂時の染色体分配の失敗で異常な染色体数をもつ卵子ができる。

特に高齢出産(35才以上)の女性にそれは多発して、ダウン症のような染色体異常の子供が産まれる原因となっている。

脱線するが、女性がまだ母親のおなかにいる胎児の段階で減数第一分裂途中まで進んで停止する。

その後、思春期になって分裂がそこから再開する。

どんなメリットがあってそんな中途半端な状態で停止しているのか、不勉強ななため知らないが、卵子が古くなる理由はそんな中途半端な状態で減数分裂を停止しているのも一因だと考えられる。

ハエの場合にも、卵子をつくる過程で減数分裂時の染色体分離に失敗があり2本のX染色体をもつ卵子ができてしまうと、それとY染色体をもつ精子が受精するとXXYの個体が産まれる。

その「XXY」のハエは「メス」になった。

その逆で、X染色体を全く持たない卵子とX染色体をもつ精子が受精するとX染色体を1つしか持たない個体が産まれる。

その「X」のハエは「オス」となった。

つまり、Xが1つあるとオスに、2つあるとメスになるというルールが見つかった。

つまり、哺乳類とは異なるルールを採用していた。
(哺乳類ではYをもつとオス、持たないとメス。ちなみに哺乳類の方が後からそのしくみが分かったが)

このようにモーガン達は、XとYという異なる染色体が性を決定するしくみを初めて明らかにして、それらに「性染色体」と命名した。

染色体だけが性別を決めるのではない
シュタゲ、ルカ子

2014年2月25日火曜日

Y染色体の"Y"とは

X染色体は立派なXの形をしているからX染色体と名付けられて、Y染色体はYの形をしているからY染色体と名付けられたと記憶していた。

左がY染色体、右がX染色体

確かに言われてみると、そうみえなくもないけど…

しかしそれは正しい情報ではない。

昨日も言ったように、X染色体は減数分裂時に対合する相手をもたないミステリアスな染色体という意味で「X」と命名された。

オスのバッタでX染色体が見つかったので、モーガンたちはショウジョウバエでもX染色体があるのかを探した。

確かに、オスのショウジョウバエでもX染色体は存在し、他の染色体と対合しないようだった。メスにはX染色体が2つあり、それらは対合するのに。

何か見落としているのではないかと、詳細に組織標本を調べた結果、見逃していた小さな染色体をオスが持っていることが分かった。

その染色体に着目して減数分裂を観察すると、X染色体は短い時間ではなるがその小さな染色体と対合することがわかった。

大きい方をXと呼んでていたために、その小さな染色体はYと呼ばれることになった。

つまり昆虫のオスはXYを、メスはXXの染色体をもつことが分かった。

これらの染色体がハエの性を決定しているのではないかと、当然モーガンたちは疑った。
(つづく)

でかい火々里さん(X染色体)と小さい多華宮くん(Y染色体)
ウィッチクラフトワークス

2014年2月24日月曜日

X染色体の"X"とは?(2)

我々の体の大半の細胞は「体細胞」と呼ばれる細胞からできている。

これらの細胞は次世代に遺伝子を残さない。

そのため、我々の肺とかに遺伝子変異が生じて癌ができても、その変異遺伝子は自分の体一大限りで終わる。

がん細胞が子孫に伝わることはない。

一方、子孫を残す細胞は「生殖細胞」と呼ばれている。

生殖細胞は男性なら精子、女性なら卵子。


減数分裂は、その配偶子(精子や卵子)をつくる際に、起こる特殊な細胞分裂であり、その過程で細胞中の染色体数が半分になる。

自分の遺伝子は息子や娘には半分しか伝えられない。

男性が半分提供して、女性が半分提供して、また1人分の遺伝子になる。

その減数分裂時に形の同じ相同染色体どうしの対合が起こる。

モーガンと同時代、別の研究者がより大きくてみやすい染色体を有するバッタのオスの減数分裂を観察していた。

その中の大きな1つの染色体だけ対合をしなかった。

なぜならば、対合すべき相同染色体が存在しなかったからだ。

そのため、対になる染色体をもつものと違って、通し番号も与えられず、ミステリアスな存在なものという意味で「X」と命名された。

その後、遅れてY染色体が発見されることになる。
(つづく)

ミステリアスな侑子さん
xxxHOLiC
祝、再開

2014年2月23日日曜日

こわい漢字(126)勉

日本人はとにかく勤勉な国民だ。

「勤勉」の「勤」も「勉」も「つとめる」という意味。

どちらにも「力」が入っている。

繰り返しになるが、「力」は鋤、農耕を表す漢字。

農耕、特に稲作はとにかく手がかかる。

「勉」は「免」と「力」からなる。


「免」は出産の分娩を意味する漢字。

分娩時の姿勢が伏して農作業している姿に似ていることから、農耕に勤しむ意味になった。



と本では紹介しているが、昔の分娩も仰向けに寝ていた筈で(うつ伏せで出産することは考えられない)、この説明はイマイチ信用できない。

勉強に疲れて、つい居眠りして机に突っ伏している姿がまさしく「勉」か(笑)

現役東大生100人に聞いた! 勉強に役立つアニメ&ゲーム&漫画はこれだ!

というサイトがあった。


シュタインズゲートで相対性理論が理解できるとは思えないのだが…

勉強に役立てようなどという不純な目的でアニメをみてはいけないww


2014年2月22日土曜日

こわい漢字(125)務め

「務」も「力」が使われている。

「務」から「力」を抜いた漢字、「ボウ」(漢字が見つからず表示できず)は、「矛」と「攵」(ボク)からなる。

「攵」の原型は「攴」で「ト」は木の枝、「又」は右手。

つまり、「攴、攵」は棒を持って人を打つ姿。

つまり、「務」は、「力」農耕に従事している人を「矛」と棒で使役する意味。



その後、すべてのことに「つとめる、はげむ」の意味になった。

やっぱり、「務」にはいい意味はなかった(笑)

作務衣
サンカレア

2014年2月21日金曜日

X染色体の"X"とは?

女性はX染色体を2つもっているのに対して、男性はX染色体を1つ、Y染色体を1つもっている。

この「X染色体」、「Y染色体」はどのように命名されたのであろうか?

20世紀当初にアメリカのコロンビア大学で活躍した遺伝学者のトーマス・ハント・モーガンはショウジョウバエを用いて染色体と形質の関係について精力的に研究を行った。

モーガン

モーガンは様々なハエの変異体を単離して解析した

それまでの研究で、染色体がメンデルの予想した「遺伝子」なのではないかと漠然と思われていた。

しかし、生物の染色体数は千差万別である。

ショウジョウバエだと4本しかない。

4つしかない染色体では、到底、たくさんの遺伝子をカバーできない。

つまり、1つの染色体は複数の遺伝子を持つことが想定された。

その中で、モーガンらは次のことに気づいた。

(1)ある2つの形質がペアを組んで伝わる。

これから、その形質を暗号化している遺伝子が同一の染色体上にあるのではないかと推論した。

(2)時折、その2つの形質がばらけて遺伝する。

上記の(1)を認めるのならば、このことは染色体というものが不変的なものではないことを示唆する。

では染色体は時々千切れるのか?

実際に千切れる。

それが、減数分裂時に相同染色体間での組換えだ。

(3)2つの形質のばらけ具合の頻度がペア間で常に決まっていること。

その形質を暗号化している遺伝子間が離れているほど、ばらけやすくなる。

そこから遺伝子間の距離、という概念がもたらされた。

遺伝子間の距離の単位は「モーガン」と命名された。

さらに、それは染色体上に遺伝子が一次元的に並んでいることを暗示する。

その後、染色体がDNAの長い紐の集合体であることが分かり、実際に長いDNA上に遺伝子が一次元的に並んでいることが分かった。

モーガンたちが偉大であったのは、ちっぽけなハエの形質から遺伝子の本質に迫る推理を展開したことであった。

そして生殖細胞で観察される減数分裂時に相同染色体が対合することにも彼らは気づいた。

その過程でX染色体は見つけられた。
(つづく)

腕もときどき千切れます
エヴァ、ぜるえるさん、強し

2014年2月20日木曜日

サイクス一族のルーツを辿る(2)

サイクスの半分は男系祖先を共有していた。

しかし、もう半分のグループは互いに関連はなかった。

考えられる理由は、

(1)家族全員が姓を変えた場合

実際にスコットランドでは、移住した土地の名前に変える等あった。

(2)父親が本当の父親じゃない場合

遺伝学者が使う「非父系」は、出生記録に記載された父親が生物学的な父親ではない場合に使う言葉である。

父親が本当の父親じゃない理由は3つの場合に大別される。

(2−1)養子をとった場合

(2−2)妻が不倫の子を残した場合

(2−3)妻が他の男性にレイプされて子を残した場合

半分のサイクス氏が「非父系」であるという事実から、13世紀以降に生じた「非父系」の発生割合を割り出したところ、1世代につき1. 3%ずつ「非父系」が生じたと出た。

つまり、どんなに多く見積もっても1%くらいしかサイクス夫人は不倫をしていなかった。

現在のイギリスで行われた調査では「非父系」息子の割合(女性が不倫の子を出産した割合)は5〜30%という推定値が出されている。

サイクス一族の「非父系」息子の割合はこれに比べればずっと少ない。

もちろん、13世紀以降からこの方800年間、5〜30%で不倫が行われたかどうかは分からない。

昔の方が女性の不倫は高かったも知れないし、その逆かもしれない。

サイクス姓とY染色体DNAの関係からこんなことまで示唆された。

歴代アニメの視聴率最高
オバQ

2014年2月19日水曜日

サイクス一族のルーツを辿る(1)

誰しも自分のルーツに関してはとても興味をもつ。

自分もとても珍しい苗字をもって産まれたため、自分の先祖はどのような人物だったのか小さい時から興味はあった。

著者のサイクスは男性なので、これまで扱っていたミトコンドリアDNAでは女性のルーツしか分からない。

男系のルーツを辿れるY染色体の研究に手を染めたことにより、当事者意識満々で研究を進められたろう。

サイクスの要望を受けて、イギリスから60人のサイクス氏が細胞サンプルを送ってくれた(口の中の粘膜細胞を綿棒で擦りとって送るだけなのでそんなに大変な作業ではない)。

サイクスは「サイク」(ヨークシャー語の小川)からの派生語とされる。

余談だが、かのバッハ(Bach)もドイツ語で小川。

世界に広がる小川さんの輪!(笑)

小川さん

イングランドでは貴族以外の大衆が姓を持つようになったのは13世紀。
(日本の場合は大衆は明治以降だからだいぶ最近)

少なくともそこまでは先祖が遡れるのではないのかとは期待できる。

Y染色体のDNAを解析した結果、サイクス氏は2つに区分された。

半分は著者のサイクス自身と全く同じDNA配列をもつ、大きなサイクス集団を形成していた。

つまり、ある1人のサイクス氏の子孫であることが示唆された。

しかし、残りの半分はそのDNAの配列とはそれとは異なる全く別のDNA指紋を持っていた。

それも各々バラバラだった。

これは何を意味をしているのか?
(明日につづく)

あやうし、ドラえもん!

2014年2月18日火曜日

アダムの呪い

今日からしばらくは、サイクスの次著『アダムの呪い』から紹介する。


それまでミトコンドリアDNAから人類の母系を辿る研究をしていたサイクスは、ふとしたきっかけでY染色体の研究にはまり込むことになる。

どんなきっかけかというと、

イギリスのオックスフォード大学で研究を続けているサイクスはある製薬会社の講演に招待された。

その製薬会社のトップが同じサイクス氏だった。

そこで、突如、彼の探究心がメラメラと燃えあがった。

そのサイクス氏は自分とつながっているのだろうか?

サイクス氏から提供をうけたY染色体を分析したところ、見事に一致した。

両者は同じ父系の子孫だった。

これに興奮したサイクスは、大規模調査を行うために、同じサイクス姓を名乗るイギリス人を名簿からピックアップして、DNAを送ってくれるよう手紙を送った。
(明日に続く)

白蛇の呪い
化物語、なでこ

2014年2月17日月曜日

イヴの33人の娘

長いこと、ブライアン・サイクス著『イヴの七人の娘たち』を紹介してきた。


ここで題名にもなっている「七人」は現在のヨーロッパ人のルーツになった母系の7系統のことである。

本書では後半、この7人についての物語を語っている。

自分がヨーロッパ人じゃないのでその辺は流し読みした (^ ^;

全世界のミトコンドリアDNAの系統は33もある。



現生人類は15万年前にアフリカで誕生して、その後5万年間は人類はそのままアフリカに留まっていた。

33系統のうち13はアフリカ人にしか見られない理由は、長いことアフリカに留まっていたことが原因だ。

10万年前に13のうちのたった1つの系統が中近東へ出た。

しかしそこで5万年間、人類は足踏みをしていた。

その当時、氷河期で人類が北進しにくかったかったからと考えられている。

その後、全世界に子孫が散らばった。

その全人類の母となった祖先を「ミトコンドリア・イヴ」と読んでいる。

本書出版後、新たに日本人に見られる新しい系統も見つかって、33系統より数は増えている。

次にサイクスはY染色体にまつわる『アダムの呪い』を出版した。

明日からそれを見て行く。

また3年間足踏みしているハルヒシリーズ
続刊、望む