2012年6月13日水曜日

お酒なんて呑めなくたって‥‥

昨晩の続き、

生物個体に存在する全ての遺伝子は、生物が生きて行く上で同じ重要度で貢献しているのだろうか?

そもそも、各々の遺伝子の重要度はどのように判断、比較したらよいのであろうか?

その生物にとって非常に重要な遺伝子であれば、その遺伝子を喪失したら、その生物は生きてゆけない。
つまり、欠損したら致死的になる遺伝子はその生物にとって最重要だと定義してみよう。
そのようにして定義された遺伝子が「必須遺伝子」である。

前回のDNAの複製に必要な遺伝子はすべて必須遺伝子である。
染色体の分配や細胞分裂に必要な遺伝子も必須遺伝子である。

もっとも遺伝学が進んでいる出芽酵母(いつもながらの出芽酵母の宣伝です)では、6300ほどある遺伝子の全てを1つずつ破壊してみて、それにより酵母が死ぬかどうか調べて、必須遺伝子がそのうち何個あるのかが調べられた。

その結果、6300くらいのうち1100ほどの遺伝子が必須遺伝子であることが判明している。
つまり、残りの5000余りの遺伝子はなくてもなんとかやっていけるということ。

つまり、1100個の遺伝子は超重要で、5200個の遺伝子は重要度は低い、ということになる。

しかし、必須遺伝子ではないものの中にも、あるストレス、例えば高温度下で生きるには必要とか、DNAがダメージを受けた時には必要だとか、そういうものがたくさん見つかっている。

ヒトにおいても欠損しても通常の生活には支障のでないものの、ある環境では必要になる遺伝子はある。よく知られたものに、アセトアルデヒド脱水素酵素。

この酵素はお酒を飲んだ時、アルコールを分解してできるアセトアルデヒドを酢酸に代謝する酵素であるが、モンゴロイドのうち約5%はこの遺伝子がどちらも(父からもらったものも、母からもらったものも)変異している。そのため、そういう人は少しのお酒を飲んだだけでアセトアルデヒドが即溜まって二日酔い状態になってしまう。
しかし、お酒さえ飲まなければこの酵素を持っていなくとも全く支障のない日常生活を送る事ができいる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/アセトアルデヒド脱水素酵素


まるで人間が進化していずれお酒をつくって呑むことを予期していたかのごとき遺伝子ではないか!


(Fate Zeroより、アーチャー)
酒は人を王の気分にさせる。それで王様ゲームか(笑)

お酒を飲めなくても生活には極端な支障はなくそう嘆くこともないが、酒飲みからしたらちょっと寂しい遺伝子変異か。その代わり、この遺伝子が欠損している人は呑めないのだから酒に溺れることもないし(酒溺死)、酒で失敗することもない。

脱線ついでに、
人は酒を呑んで大脳の働きを麻痺させて抑圧されている理性を開放することの快感を味わうわけだが、理性がお酒でやられるが、本能はやられない(そのためお酒を飲むと本能に従順になってしうやつが出る)ところをみると、大脳(理性)の細胞は小脳を含むそれ以外の古い脳(本能)よりアルコールに対する感受性が高い(やられやすい)ということ。

これが逆だったら、人類は酒を呑んでいなかっただろう。
酒を呑んでますますお互い冷静に理性的になって、何か楽しいか??(笑)

(まだ次回に続く)


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