2012年6月15日金曜日

Wの悲劇ー双子を待ち受ける非情な運命

昨日のつづき

必要とされていない遺伝子はどんどん変異が蓄積して最後にはゲノムから失われるという話しをしたが、そのような過程をヒトのゲノムの中に認めることができる。

「偽遺伝子」と呼ばれるものである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/偽遺伝子

偽遺伝子は、かつては遺伝子として機能していたものが、DNA配列が変化してしまいその機能を失ってしまったものである。DNAの配列に以前の遺伝子の痕跡をとどめている。

そんなものがうじょうじょとゲノム中に存在する。
ヒトの場合、偽遺伝子がほんまもんの遺伝子数と同じくらいの2万〜3万もある。


http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=2003&number=4814&file=YZvEx3IoHEQr8LFOOey7jA==
より

偽遺伝子の出自に関しては次の3つのケースがある。

http://www.soken.ac.jp/journal/no.15/doc/06-09.pdf

(1)mRNAが逆転写されてDNAとなり、それがゲノムに再び組み込まれてしまったもの

以前取上げた、RNAを介して増殖するレトロトランスポゾンの逆転写酵素のせいでこんなものができてしまう。レトロトランスポゾンってやつ、本当に迷惑な話しだ (`ヘ´#)


(2)環境の変化で使われなくなったもの

有名な例としては、ビタミンC合成に必要なL-グロノラクトンオキシダーゼ遺伝子。霊長類の先祖は豊富な果実等から十分ビタミンCが補給できたため、この遺伝子がだめになっても何ら問題がなかった。大航海時代に、野菜が長期に食べられずビタミンC不足で壊血病で多くの人が死んだのは可哀想な話し。


(3)遺伝子重複(遺伝子のコピーが生じること)が起こって、片方の遺伝子がいなくてもよい子になったため、ぐれたケース。




昔は双子は忌み嫌われて片方の子は養子に出されたりした。
どうせ、私は捨てられた子よ。




自分のクローンがいれば、そのクローンに仕事を押し付けて自分は働かずに遊んで暮らせる的な考え方もあるが、その自堕落な道の先には破滅しかない。遊んでばかりいると間引かれるぞ、のび太くん!



偽遺伝子は早晩ゲノムから消えてゆく。

トランスポゾンは生物個体のために働かないだけでなく、逆に生物個体に負荷をかけても自分を増やすことしか考えていない。こちらは、遊び人というよりは、ゲノムにおけるテロリスト。
憎まれっ子世に憚る!




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