つまり、農耕民族が先住民族を駆逐して行って、民族の置き換わりが起こったという説だ。
もしそうなら、DNAの集団の遺伝学的多様性は一万年そこそこの筈であった。
それを支持する状況証拠として、現代のヨーロッパで使われている言語のほとんどは、インド=ヨーロッパ語族に属する。
東方の民がヨーロッパに移動してきたと考えてもよい。
もちろん、文化として言語が他民族に伝播したという考え方もできなくはないが。
言語学に詳しくないのでこれは私見だが、
単なる文化と違って、言語というのはかなり根本的な強固な文化であり、他民族と接しているからといって、おいそれと他の言語に置き換わるということは考えにくい。
大陸でも異なる民族が異なる言語をしゃべっている。韓国では中国と何千年も濃密な接触があって、ほとんどの文化は中国の影響を受けているが、言語は頑に韓国語である。
日本人もしかり。
日本ほど、他国の文化を容易に受け入れて我がものにするという国は他に知らないが、その日本であっても、単語は外来語を受け入れても、文章そのものを英語に変えようということはない。
一度、小さい時に習得した言葉から他の言語に変えることの難しさは、英語教育をこれだけやっても、日本人の英語苦手意識をみれば、いかに言語文化を変革するのが困難かはわかるであろう。
第二母国語として英語やフランス語を採用している国は、上からの押しつけ、他民族との意思疎通のためにやむなくそのようになっているだけで、そのように強い権力と要請がない限り、日本語が英語に取って代わることは将来もあるまい。
しかし、DNA分析が行われた結果、現在のヨーロッパに住む人々は一万年を遥かに超える分岐をもって広がっていることがわかった。
比較的最近まで狩猟採集民族であったバスク人も、その他のヨーロッパの人と同じであった。
つまり、狩猟採集から農耕に変わる際に他民族に置き換わりが起きたという従来の説は正しくないことが示唆された。
1995年にサイクスがこれを発表すると、それに対して多くの反論が起こった。
ミトコンドリアDNAの配列だけの結果で、従来の説をひっくり返そうとしたのだから、その反動も大きかったというわけだ。
それにサイクスは再反論すべく、自説を補強する材料を準備しなくてはならなくなった。
(明日につづく)
それは違うよ!!
ダンガンロンパ
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