2013年12月4日水曜日

ぞうりむしの寿命

最近取り上げている寿命の話題は高木由臣『寿命論』から。


著者はゾウリムシで寿命を研究している。

なぜ、ゾウリムシか、というとゾウリムシは細胞分裂で無性生殖で通常ふえるのであるが、三百回くらい分裂すると急にそのままでは細胞は死滅する。



ではどのようにその死を回避しているのか?

その際、ゾウリムシは他個体と細胞融合して核を交換することによって若返る。

ゾウリムシにはオス、メスに相当する2つの性があるが、同じクローン由来の同性間での接合(オートガミー、自家生殖)と、異性間での接合と、両方を起こせる。

男と男がつがって子供をつくれるようなもの(腐フフ)。

元祖腐

異性間であっても、同じ遺伝子組成のペアでも交接できる(セルフィング、自系接合)。

この場合には、遺伝子の多様性は生じないため、少なくともゾウリムシにあってはこの若返りは遺伝子の多様性には無関係である。

有性生殖においては、細胞(個体)の若返りという方がより不可欠であるということだ。

この現象を見る限り。

しかし、単細胞生物に分裂寿命がもれなくあるかどうかは分かっていない。

有名なモデル生物(私も研究に使っている)である出芽酵母(ビール酵母、パン酵母)に関しては分裂寿命はある。


20回程度ほど細胞を出芽するとそれ以上、子供を産めなくなって細胞は死ぬ。

そして、そのような老化した細胞では異性の細胞に出会っても接合することもできなくなる。

加えて、接合すると2倍体の酵母細胞になるのだが、その二倍体の酵母細胞にも分裂寿命はある。

つまり、ゾウリムシのような細胞の接合により若返るという現象は、一般的な現象ではない。

一方、同じモデル生物である分裂酵母には分裂寿命があるかどうかはわかっていない。
(分裂寿命があることを示すデータは得られていない)


このように、単細胞生物の寿命ひとつとっても、統一した寿命観は見いだせないようにみえる(細胞老化にかかわる遺伝子は酵母からヒトまで広く保存されている、共通な遺伝子が使われているが)。

Fateの統一した世界観は?

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