2013年11月18日月曜日

クローン集団を形成する社会性アリの落とし穴

先日のつづき。

キイロヒメアリの女王は、オスと交わらずに、単為生殖で自分と遺伝子の同じクローンであるところのワーカーを産む。それも、生殖能力のないワーカーを。



完全にワーカーは遺伝子的には自分なので、そこでは自分のロボットとして自分に奉仕するワーカーが出現する。

その社会においては、異なる遺伝子間の対立もなければ、社会にただ乗りしようとする裏切りの遺伝子の出現を極力防ぐことができる。

しかし、そんなに優れたシステムであれば、多くのアリの種類がそのようなシステムを進化の過程で採用していても良さそうだが、実際のところは、このようなクローン集団を形成するアリは数種類しかみつかっていない。

それはなぜか?

恐らく、クローン集団はクローン集団ならでの泣き所があるのだと考えられる。

(1)病気に弱い
クローン集団は病気に弱く、いったん、病気がはやるとみんな同じ遺伝子なので全員がその病気にかかり全滅する危険性が高い。

(2)分業に問題
遺伝的に多様性がないため、仕事に対する閾値が同じであるため、全員一緒の行動に初めて、全員がいっぺんに疲れてしまう。通常の遺伝子の異なるアリ集団では、個体個体で仕事に対する閾値が違うため、働きに貪欲なアリもそうでないアリもいて、仕事量に対する働き手の量がうまく調節されている。

しかし(2)に関しては検討が必要である。

なぜならば、近年注目されている「エピジェネティクス」の観点から言えば、同じ遺伝子をもっている個体でも遺伝子の発現を調節することにより、表現型に多様性を出すことは可能であるから。

http://ushitaka7.blogspot.jp/2012/05/blog-post_4854.html

一卵性双子でも、行動パターンが違うように。

この問題は今後の課題だ。

私が死んでも代わりはいるもの…
遺伝子が同じでも同じじゃない!w

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