2012年9月30日日曜日

ウイリアム・テル

強大になったハプスブルク家を怖れてスイスの3つの地方のウリ、シュヴィーツ(スイスの語源)、ニートヴァルデンが1291年8月1日に「永久同盟」を締結し、現在のスイスの核になった。





この永久同盟が結ばれた8月1日は現在スイス連邦の「建国記念日」となっている。

元々スイス出身のハプスブルク家の強大化がスイスの建国を促したのも皮肉な話し。

ウィリアム・テルの物語はこのような史実をもとにして15世紀頃に形成された伝説である。言い伝えでは、テルはウリのビュルグレン村に住んでいた猟師で弓矢の達人だった。




今でも建国記念日では、ウイリアム・テルの演劇がスイスで行われる。

バーゼルでも夜に花火が上がる。
ちなみに向うの花火はすこぶるしょぼい。
日本の花火がスゴすぎるだけなのだが。



(Fate/Staynight、アーチャーならもっと弓使えよ)

ちなみにこの3つの地方に次々に他の地方(カントン、州)が加わり現在に至る。
26のカントンは現在、各々独自の憲法・行政権・立法権を有している





2012年9月29日土曜日

スイス銀行

週末はスイスの話題。

スイスに留学していたとき、スイスの銀行に口座を作った。
自宅にお金を置いとけないし。



何か優越感があった。

「俺の口座に金を振込んでおいてくれ」という機会は残念ながらなかったが。

スイスは、フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアに接し、ヨーロッパの十字路と呼ばれ交易が盛んに行われていた。

昔、スイスは貧しかったので国民はヨーロッパ諸国に傭兵としてお金を稼ぎに出ていた。
そしてお金が本国に送金された。

そのため、為替業が古くから発達していた。

スイスは精強な軍隊を保有する永世中立国であり、国連をはじめとした国際機関の本部やオフィスを多数誘致しており、さらに各国の王族、富豪の資金を保全・保管していることから、他国からの侵略を受ける可能性は低い。

ヨーロッパでは「スイスフランは金より堅い」といわれ、スイスの通貨の信頼性は古来より高い。

俗称としての「スイス銀行」はプライベートバンクを指している。
名義人が表示されない匿名口座を開設することが可能で守秘性が非常に高い。

加えて口座の顧客の身元を知っているのは担当とごく一部の上層部だけ。


銀行はそれぞれ高い水準の守秘義務規定を設けており、たとえ退職しても自分が担当した顧客の情報は絶対に守らなくてはならない。

しかし世界からの脱税、マネーロンダリング批判から、犯罪に関わるお金と判明した場合は、スイスのマネーロンダリング条項により当局への通知が義務付けられた。


日本の五菱会系の資金をチューリヒ州検察局が凍結した金額は約51億円。そのほとんどがヤミ金融で違法に得た収益と見られる。

 

世界の長者番付で26位のロシアの大富豪ミハエル・ホドルコフスキー氏の場合には、不法行為や脱税の疑いのある約4270億円が凍結された。

住みにくい世の中になった

2012年9月28日金曜日

嬰児殺し(4)子の年齢

今日、我々が他者にいだく心理メカニズムは進化によって形成されたと考えるのが行動進化学。

他者に抱く感情は、他者に抱く期待度に比例する。

子供が育つに連れて、親が子供に抱く期待度も変化すると考えられる。

交通事故で人をはねて死なせてしまった時に、賠償金が一番高くなる相手は、就職が決まった大学生の卒業時である。

それまで親はその子供にずっと投資し続けて、いざこれから稼ぎ出すと言うときに死なれてしまうからである。

逆に、幼児(これからお金がかかるしニートになるかもしれない)や老人では低くなる。

親からみて子供に投資が今後どれだけ残っているか、成長するまでに死亡する可能性はどうか(特に乳幼児の死亡率は高い)、によって親の子供に対する評価が変動する。

その結果、子供が成長するほど親の子供に対する評価が高まることが予想される。

つまり、親の子殺しは子供が育つに従って減少することが予想される。

事実、カナダでの調査ではそのような明確な結果が得られている。


0歳児においても最初の6ヶ月に殺される件数が圧倒的に多い。

このことは、親は生れて間もない子供を殺すかどうかをかなり早い段階に選択していることを示している。

例外的に大きくなった子供を母親が殺す時には、大抵の場合母親は鬱状態にあるという。

それに対して、非親族による未成年者に対する殺害件数はこれとは全く異なっている。



*14才以降で子供の殺され率が高いのは、家出や夜遊びで事件に巻き込まれる危険が高くなるからと考えられている。


今週は殺しの話しが続いて気持ちがすさんだ。



実はまだ殺人から見えてくる人間行動学の話題は残っているのだが、続きはいずれまた。


来週は何かほんわかした話題を提供できればよいのだが。

むちゃほんわかの人類は衰退しました


2012年9月27日木曜日

嬰児殺し(3)女児殺し

産まれた子供が男か女かによっても嬰児殺しの比率が異なる。

いくつもの狩猟採集部族において女子殺しの方が高いのである。

フィッシャーの原理に則れば男女比は1:1が理想な筈で、明らかにこれから逸脱する。

さらにこのような社会にあっては、授乳の期間、食事のお椀の大きさ、では男の幼児に対しての優遇がみられる。

男尊女卑の社会だからということではない。

部族間の武力闘争でもし負けると、その部族の男は殺され女は略奪される。
その戦う戦士(男)を部族で育てることは部族の存続のためには必須となる。

そのためには、女児が産まれたら殺してでも次に男子が産まれてくる可能性に懸けることで、女子殺しが行われることがある。

その結果、女の比率が低くなり、余所の部族の女を奪うためにさらに部族間争いの圧力が高まり、さらに男手が必要となり(以下略)。


やれやれ。。

人間は改めて戦闘種族だと思い知らされるが、赤ちゃんこそいいとばっちりだ。

戦闘種族サイヤ人





2012年9月26日水曜日

嬰児殺し(2)

昨日の親による嬰児殺しのつづき


(3)子育てに困難を伴う場合。
父親が死んでしまったのに子が生れてしまった。まだ上の子が幼いのに赤ちゃんが産まれてしまって養育する力がない。
その場合には、すでに投資して育っている子よりは産まれたばかりの子を殺す方がこれまでの投資が無駄にならない。
加えて、乳幼児の間がそれでなくても病気等死ぬ確率が高いために、まだちゃんと育つかどうか分からない嬰児の方が不確定要素が高い。

双生児が産まれた場合にも、母親がどちらか一人しか育てられないということが起こりうる。

母親の労働が苛酷な社会ほど双子の片方を殺す傾向が認められている。
日本でも最近まで双子は畜生腹と言われ忌み嫌われ、片方が捨てられたりして闇に葬られてきた。

そのような迷信は双子の片方を殺さざるを得なかった母親の心理的負担を軽くしたであろうか。

まだ経済基盤がなく年齢が若い母親の方が嬰児殺しの頻度が高いのも当然か。


理由はそれだけではない。
若い母親ほど「残存繁殖価」(死ぬまでに何人子供をもうけることができるか)が高い。


つまり、若い母親程、やり直しがきくのに対して、年をとった母親は今後あまり子供をつくることができない。

とすると現在の子供を捨てようとする心理的傾向は年をとるほど下がることになる。

それに加えて、若い母親の場合に結婚をする前に子供ができてしまうことがある。

そのような時に父親となる筈の男性からの育児援助が期待できない場合には嬰児殺しが高まる。明らかに未婚女性による嬰児殺しは高い。


シンデレラは継母にいじめられるだけだったが、白雪姫は暗殺されかけた。
白雪姫の場合には、母親の年齢が上がるにつれて危険度が増加したレアケース。

(殺されかければ酒にも溺れます)


(Fate/Zero、アサシンより暗殺者然の切嗣)




2012年9月25日火曜日

嬰児殺し

殺しの話しが続いてすみません‥‥‥

今回は親による嬰児殺し。

その理由は大きく3つに分類される。

(1)赤ん坊が自分の子供でない場合。
(2)赤ん坊の質に問題がある場合。
(3)子育てに問題がある場合。

(『人が人を殺すとき』より)

現代の先進国では、どんな理由があろうとも子供を殺すのは殺人になる。
そのため、子殺しは日常的ではない。

しかし、我々も刑法が定められる以前には、何万年もの間、子殺しは行われていたであろう。

ここに挙げている例もヒトの原始社会を姿を反映していると思われる狩猟採集生活を送っている人々の社会を調べた結果である。

(1)
当然、多くの社会において妻が不倫をしてその結果産まれた子供は子殺しの対象になる。
男親にとって、自分の子供では子供に投資するいわれは全くない。

ライオンのオスがハーレムを乗っ取った際に、前のオスの子供を殺すのも同じ理由。

(2)
奇形で産まれてきたり、非常に病弱な赤ん坊を捨てたり殺す習慣をもつ社会は多い。
これも我々の現在の通念からしたら非情なことであるが、母親にしても上記の選択はとてもつらいものである。
様々な民族で、奇形児は悪魔が取り憑いた呪われたものと見なされており、そのような子殺しは超自然との戦いと位置づけている。
このような考え方は、母親の子殺しに対する罪悪感を軽減するのに役立つであろう。

両親にとって、子供は自分が投資する対象である。
原始社会では子供の平均出産数は4, 5人程度であることが推定されている。
そのような中で、投資しても見返りが低い(ちゃんと育つ可能性が低い)と思われる赤ちゃんに投資をしないというのは生物学的には正しい。


うー、という内容だ。


ただ、こういう行為を人間が理性で押しとどめようとしていることはせめてもの救いだ。


今日はアニメで茶化さずに終了。

(3)に関しては次回。

2012年9月24日月曜日

兄弟戦争

聖書のカインとアベル、古事記のヤマトタケル、世界各地の神話に兄弟殺し合いが描かれている。

なぜ兄弟同士はいがみあうようにできているかはすでにみた。

簡単に言えば、親から受ける資産を奪い合うライバルだからだ。

日本のような農耕社会でも、親から田畑を譲り受けるのは通常長男一人だけ。
兄弟に分け与えて行くことは、どんどん一人当たりの田畑が少なくなってみんな共倒れになる「田分け(たわけ)」た所業。

次男坊、三男坊は、実家を出ていかなければならなかった。

これは他の国でも同様。

インドの原始的農耕社会を調べた結果でも、兄弟殺しは殺人全体の7.5%、10%と高かった。

これは人類が農業を発明したことによる不幸である。
農業により土地が財産になり、富が穀物として蓄えられ、貧富の差が拡大した。

その前の長い狩猟時代では狩り場は集団のものであったし、長男にのみ受け継がれるものでなかったろう。

そのような社会では兄弟殺しは少なかったと予想される。

実際に現在も狩猟採集社会を行っている原始的な社会を調べたところ、果たしてとても少ないことが見出される。

兄弟殺しはヒトだけではない。
オオタカなどの猛禽類などで、同一の巣の中で先に生まれたヒナが後から産まれた幼いヒナを殺すのが観察されている。

オオタカ


親から受け継ぐ資産が多ければ多い程、兄弟間の争いが激しくなることが示唆される。

天皇家や各国の王家の兄弟争いは臣下を巻き込んで凄まじいことになる。
保元の乱も兄崇徳と弟後白河の争いである。



現在でも、資産家が死んだ後の遺族間の移産争いも激しい。

貧しいことは幸いなり、とここは一庶民としてつぶやいておこう笑


(怪物王女、兄弟同士の王位継承争いも佳境)



2012年9月23日日曜日

ハプスブルク家とスイス

ヨーロッパ最高の名門のひとつ、ハプスブルク家。

フランス革命で散った悲劇の王妃マリー・アントワネットはハプスブルク家出身



ハプスブルク家はオーストリアの領主というイメージが定着しているが実はスイスの出バーゼル近郊に今も残る「鷹の城(ハビヒツブルク)」。これが訛ってハプスブルクになった。

そのため、ハプスブルク家の紋章には鷹が使われている。



ハプスブルク家は次第に富を蓄積し、近隣の領主の所領を戦争や婚姻や買収によって獲得、勢力を拡大していった。

そしてこ13世紀に神聖ローマ帝国の皇帝にルドルフ一世が選ばれると、競合相手を倒してオーストリアの首都ウイーンに本拠地を移しオーストリアの領主となった

ハプスブルク家は15世紀になると神聖ローマ帝国の皇帝の座を独占することになり、一大大国になるのである。


(ハプスブルク家の版図)

しかし、ナポレオンにより神聖ローマ帝国は崩壊。
その後もハプスブルク家はオーストリア皇帝に居残ったものの、独立運動の激化により1918年にハプスブルク家は亡命し、オーストリアは共和制になった。

戦後、子孫は住み慣れたオーストリアへの帰還を許された。

2012年9月22日土曜日

スイスの製薬会社

留学していたスイスのバーゼルは人口17万人程度であるが、巨大製薬会社のノバルティスとロッシュがある。

日本で一番の大手の武田も世界ではベスト10にも入らない。



ローマ人はヨーロッパの各地にローマ人の町を作った。


バーゼルはライン川の要衝にあるために、1世紀にローマ人の重要な拠点になった。
バーゼル近くにはアウグスタラウリカという巨大なローマ遺跡も残っている。


テルマエロマエ(ローマ風呂)の遺跡も見つかっている。



バーゼル(Basel)という地名は王という意味でつけられた。

バーゼルは水運力と水力を活かして、織物と製紙業が古くに発展し、それに薬品を使ったことから化学工業が発達した。そして現在に至る、である。

巨大製薬会社があるためバーゼルは豊かな町であり、バーゼル大学もそれらから資金的に援助を受けている。

バーゼル大学で化学と生物学の伝統があるのもそういった歴史から。
分子生物研究には欠かせない制限酵素でノーベル賞を受賞したヴェルナー・アーバーもバーゼル大学。
戦後、日本人がお世話になった害虫駆除剤DDT(発癌性が見つかり現在は使用禁止)もバーゼル大学出身でノバルティスで勤めていたパウル・ヘルマン・ミュラーが開発した。

スイスは人口比で世界で最もノーベル賞受賞者を排出している。

(人口100万人に対して)
スイス   1.111
イギリス  0.840人
アメリカ  0.713人
ドイツ   0,341人
フランス  0.187人


ノーベル医学生理学賞を受賞した利根川進の仕事もバーゼルで行ったもの。
スイスで研究したノーベル賞受賞者も含めると100人以上にもなる。


恐るべき、スイスの科学力。

Steins:Gateで出てくる悪の組織SERN(セルン)の由来となっているCERN(欧州原子核研究機構、決して悪の組織じゃないし)もスイスのジュネーブにあるw


2012年9月21日金曜日

夜道と自宅の布団の中、どちらが危ない?

本能が激烈な形として現れるのが犯罪である。

盗みであったり、強姦であったり、本能に従順になりすぎると犯罪者になる。

殺人はその最たるもの。
自分の欲望に身を任せて他人の命を奪う。

我々はその殺人を分析することで「人間」というものがどういう動物であるかを理解することができる。

このような人間の行動を進化と言う観点から検証しようという学問が「行動進化学」。

まだ誕生して間もない分野で、日本でもこれに相当する学会も発足したばかり。
ただ、2010年を最後に大会のお知らせがウエッブで更新されていないのでちょっと心配。

それはさておき、

マーティン・デイリー、マーゴ・ウィルソン著の『人が人を殺すとき』(原題:Homicide、殺人)(新思潮社)を読んだ。


1972年のデトロイトで起こった508件の殺人事件を、誰が殺人かで分類している。

知人     48%
見知らぬ人     27%
血縁関係者  25%

長い時空間を一緒に過ごす者同士の間のトラブルは多くなり、その結果、悲劇、アクシデントも多くなる。

この血縁関係者の被害者127人をさらに内訳すると

配偶者    80人(63%)
子供        11人(9%)
兄弟        10人(8%)
姻戚関係   10人(8%)
親       8人(6%)
継子           5人(4%)


このような数字を見せられると説得力がある。


圧倒的に、夫婦間での殺人が突出している。

元々、血のつながっていない他人同士が結婚という契約で一つ屋根の下(一つ部屋の中)で暮らしているルームメイトのようなもの。怒らせると怖い。

夜道を歩かない人でも、自宅の布団では必ず寝る。
自分のふとんの中の方が夜道よりもずっと危険だ。

殺人のタイプに関して数回詳細に採上げてる。
(以下次号)

(空の境界、両儀 式



2012年9月20日木曜日

スズメの計算

血縁者を助けるのにはDNAとして意味があるが、遺伝子を共有していない赤の他人を助ける様な利他的な行動が野生生物で認めれるのはどうしてだろう。

スズメは餌を見つけた時に鳴いて血縁のない他のスズメに餌の在り処を教える。

自分では食べ切れない程の餌を見つけた時にそのような行動が認められる。

いくら食べ切れないからと言って、競争相手に教えて何か得することがあるのだろうか、と研究者は観察を続けたところ、メリットが実はあったのである。

周りのスズメを自分の側に呼び寄せて、餌をついばませれば周りから補食者が襲撃した時にどれかの個体が発見して、自分が安全に逃げる確率が増す。

動物にとって、餌を食べている時は捕食者に襲われやすい。
それは、周りからの襲撃に目がいかなくなるからだ。

草食性の動物が群で行動するのも同じ原理。

必ず一匹は見張り役になる。

スズメも見かけに寄らず功利的なんだ (;-_-) =3


(http://hana-suzume.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300203198-1)





2012年9月19日水曜日

素数ゼミ(2)

昨日は別の話題をアップしたが、一昨日の周期ゼミの続き。


周期ゼミに関して新説を出したのは静岡大学工学部の吉村仁(じん)先生。
理論生物学を研究している。

以下の説はその吉村仮説である。

17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! 
(サイエンス・アイ新書) 吉村 仁 (著) 

他の昆虫と違って蝉は幼虫の長い期間を地下で植物の根から養分を吸って大きくなる。
北米大陸は氷河期にほとんど氷河で覆われてしまったために、気温の低下から地下での幼虫生活が長くなっただけでなく、蝉の個体数が激減してしまった。

そのため少ない個体の蝉が効率よく羽化して番うことが必要となり、羽化周期を合わせる方向へ進化したと考えられる。

ではなぜ、素数の周期を持っているのかというと、素数同士の最小公倍数は素数同士の積になるため大きくなり、交雑する回数が少なくなるから。

13と17の最小公倍数は221。221年に一度交雑
素数でない12と15の最小公倍数は60。60年に一度交雑

出逢いを抑えて交雑を最小限に抑えると、子孫の周期が攪乱されにくい。

*素数の中で、なぜ13と17が選ばれたのはそれが最適な解だったからだろう。
素数でも2や3では短すぎるし、かといって、29年地下に潜っていたら地下にいる間に死んで子孫を増やす確率を減らしてしまう危険性もある。

氷河期が終わってもこの蝉がその名残で、氷河期からの周期を続けているのではないかというもの。

日本を含め世界のその他の地域では蝉はそのようなきっちりとした羽化周期をもっていない。地下での生活年は気候に左右され多少の振れ巾があり、地上に出てくるタイミングは幼虫の体の大きさに因るようだ。

その理由は、周期を無理に合わせる程の個体数の激減がなかったからではないか、と考えれようか。

日本も氷河期には寒冷化したが、氷河期が終わるとともに南方からまた動植物が回帰してきた。蝉もその一つと見られている。

北米大陸の場合には、氷河期が終わっても(地形上の問題から)中南米から蝉が渡って来なかったのではないかと吉村先生は考えている。
つまり、氷河期を北米で生き抜いた蝉の子孫が現在の蝉であると考えている。


静岡はクマゼミというやつがやたらうるさい。
ある年に大発生してもらっても構わないから、61年周期とかで羽化してほしい。
望むらくは、一生土の中で暮らしていて欲しい....

(バルタン星人の襲来も1009年(素数)に一度でよい)


2012年9月18日火曜日

ちょうちょのリスク対策

今回は吉村仁先生の新著、『なぜ男は女より多く産まれるのか』(ちくまプリマー新書)


この本では、生物がいかにリスク回避、という観点から進化してきたか、ということを論じている。

モンシロチョウはキャベツ畑に卵を産んで、その幼虫は葉を食べる害虫でもある。

しかし、もし一面のキャベツ畑があったとしても、モンシロチョウは全ての卵をそこに産みつけずに、菜の花科の雑草にも卵を産みつけるという。

なぜか?

キャペツ畑なんていうものは、長くてもここ数百年の間に地球上に産まれたものである。
それまでは、そのような単一種が一面に生えているようなものはなかった。

蝶は用心深い。

何億年前に昆虫が誕生してから、このような時キャベツ畑が一面にあっても浮かれてそこに全部卵を産まないように進化している。

ルーレットで一点張りするような危険なことはしない。

キャベツ畑でもいつ、何かが起こって(例えばキャベツが病気にやられるとか、現在なら農薬が散布されるとか)、卵なり幼虫が全滅するとも限らない。

そうならないためには、卵は分散して産んだ方がよい。

いわゆるリスク分散だ。

私財も貯金、株、金(ゴールド)と分散して保有するというリスク分散が欧米ではよく取られる。


ヒトも地球の大先輩であるチョウチョに学ばない手はない。

(アクセルワールドより、黒雪姫先輩のアバター)


2012年9月17日月曜日

素数ゼミ(1)

蝉の季節もやっと終わった。今回は蝉の話し。

静岡はクマゼミが多くてやたらうるさい。
鳴くのはオスゼミでメスを呼び寄せて交尾するためだが、本当に毎年毎年ご苦労なこった。
周りの動物の迷惑も考えて欲しいところだ。

方や、北米大陸には13年周期と17年周期で大発生する蝉がいる。
ある地方ごとに、一時に何十億の蝉が羽化するというから、そのうるささは凄まじいのだろう。

http://www.youtube.com/watch?v=BLyBUOuAjiw&feature=related


周期ゼミとも、羽化の周期が素数であることから素数ゼミとも呼ばれる。




世界でもここ北米大陸にしかいない。

学生の時に本で読んで知っていた。
なぜそんな蝉が進化したかという理由は、捕食者から逃れるため、とあった。

毎年蝉が羽化すると鳥により補食されるが、年を合わせて一挙に食べ切れない暗い同期して出現することで捕食者に食べ残される確率が高まると言うもの。

ドングリに生る年(当たり年)、生らない年があるのも、同じ理由と考えられている。

食べ切れないくらいの実をある年に落とせば、リスなどが食べ切れずに残った種子が発芽する。次の年、敢えて生らない年をつくれば、捕食者を餓死させて個体数を減らすことができるとされる。

勿論、この戦略はその地方の木がいっせいに行わないと意味がない。

竹も数十年に一度花を咲かせて実をつくり枯れてしまうが、全山一斉に揃って枯れたりする。これも野鼠やリスに全部の実を食われないための知恵か。

(Steins:Gateより、フェイリス)

これに対して新説が出されているので次回紹介する。



2012年9月16日日曜日

スイスとジプシー

ヨーロッパにはロマ(ジプシー)と呼ばれる民がいる。

その国の民と交わろうとせず、独自の文化、宗教をもっているため、ヨーロッパの人には敬遠されている。総じて貧しい。

敬遠と言ったが、有り体に言えば差別されている。


イタリアに旅行した時には、ローマではロマの子にお財布を擦られないように気をつけてと言われた。幸いなことにそんな目に遭わずにすんだが。

ロマの有名人と言えばチャプリン。

チャップリンも幼児期を極貧の中で暮らして、その映画に流れているのは極貧の描写である。
 
チャールズ・チャップリン

スイスにはロマは他のヨーロッパ諸国に比べたらとても少ない。

スイスの物価が高いために貧しいロマは暮らせない。


しかしロマもいないわけではなく、スイス人がロマについて語る時に顔をしかめていたのを思い出す。

流浪の民は結局は異分子扱いされて嫌われてしまう。

国と言う概念が曖昧だった頃にはまだしも、国境ががっちっと決まってしまうと、定住地を持たない流浪の民は本当に大変だろう、と思う。


(るろうに剣心)

2012年9月15日土曜日

スイスの水道水

バーゼルにはヨーロッパ屈指のライン川が流れている。

スイスに源があり、ドイツを通り、オランダから海へ注いでいる大河である。


バーゼルはそのライン川水系にあたるが石灰、カルシウム成分を多く含んでおり、水道水でも流しとかのステンレスがあっという間に白っぽくなる。

なので、飲み水はミネラルウォーターを買っていた。

ヨーロッパのミネラルウォーターは、通常、炭酸ガス入りとガスなしが売られている。
ちなみに同価格。これはレストランで出される(勿論お金は必要。日本のように水がただで出してもらえると思ったら大間違い)ものも同様に、同価格。

始めは、ガスなしを飲んでいたが、ガス入りもなれると乙なもの。
乾燥した気候風土にちょうどガス入りが爽快だ。

1.5リットルサイズを6本入りでもとても安い。

(evianは違うが、スイスブランドのものもたくさんある)

スイスはアルプスの雪解け水がふんだんにあり、水資源には恵まれている。

スイスに住んでから一ヶ月もすると、ガス入りばかり買っていた。
日本ではまだあまりなじみがないが、是非、同価格で普通にコンビにおいて欲しい。

でも、水は飲み慣れた日本の水が美味しい。
ヨーロッパの水はミネラルを豊富に含んでいるいわゆる硬水で、日本は適度に入っている軟水。飲み慣れていない硬水だから、ガスで自分をごまかしていたのかもしれない。


今後、世界中で真水不足が深刻化して水ビジネスが活発化すると言われている。

2025年には80兆円規模の市場になると予想されている。

日本は世界有数の水資源大国。世界屈指の多雨大国。

古事記では我が国のことを「豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに)」(葦が豊かに生えていて、秋の実りが豊かで、水が豊かで稲穂がたくさん広がっている国)と呼んでいるが、正しくその通りなのだ。

日本がなぜ世界でも稀な多雨地域になっているか、ということは日本が海に囲まれているというだけでなく風の影響もある。

ここ数年大雨で土砂災害等で多くの犠牲者が出ているものの、この恵みの雨を是非日本の資源として活用して欲しい。

日本ブランドのミネラルウォーターが世界市場で売られているという話しはきかないが、和食には日本の水を! という戦略で(安全安心な)日本の水の売り込みがもっとあってよい。

(xxxHolicより雨童女)


2012年9月14日金曜日

兄弟喧嘩は必然

親にとっては自分の子供は同じように可愛い。

お兄ちゃんにとっても弟はかわいい、が、それでも兄弟はよく喧嘩する。

なぜか?

子供にとって親からの投資をどれだけ自分が受けられるかによって自分の生存率が変わってくるからだ。動物と同様に、より多くのエサをもらえた子供の方が大きく健康になれる。

勿論、自分と血(遺伝子DNA)を共有する弟はDNAからしたら1/2だけ自分だということになる。逆に言えば、自分の方が2倍可愛いことになる。飴を分けるのなら、自分に2個で弟には1個ということになる。

*自分の遺伝子は全て両親が持っている。その両親から自分のもっている遺伝子が兄弟に行く確率は半分だから自分と兄弟は遺伝子を1/2共有する。

一方、親からしてみたら、自分の子供のDNA共有率は1/2でどの子も同じ。

つまり、親からしたら、子供はみんな同じようにかわいいとDNAはささやき、投資を同等にしようとする(男親からみるとなぜ娘がより可愛いいのかはいずれまた)。片方に肩入れして、もしもう片方の子供が死んでしまう様なことは親は望まない(エサが2人分なく、1人分しかないという極端な条件はないものとすれば)。

親からしたら、兄弟がいがみあって(エサを奪い合って)、片方が死んでしまうことになると大損になる。

兄弟が喧嘩をするのは仕方がない。

自分より、弟、妹を大事にしてきたという人もいるかもしれないが、そのような遺伝子は早晩消え去ってしまうことが予測される。弟や妹がそうではない遺伝子を持っていた場合に、そのような遺伝子に負けるから。

妹が可愛く見える。これはまた意味が違うのでいずれの機会に(笑




2012年9月13日木曜日

マイルドセブンが消える日

来年2013年2月に日本たばこ産業JTのマイルドセブンが消える。

と言っても名称が消失するだけで、ヨーロッパへの販路拡大のために名称が「マイルドセブン」から「メビウス」に変わる。


というのも「マイルド」とか「ライト」の名称使用がヨーロッパの国で禁止されているため。

なぜかというと、これらの呼称はタバコの有害性が低いとの誤解を消費者に与えかねないとしてWHOで2005年に「たばこ規制枠組み条約」で禁止されている。

30年以上慣れ親しんできた名前が消えるのを惜しむ愛煙家の声もあるが、この間、日本でマイルドセブンの呼称が使われ続けたことの方が問題。


(北海道のマイルドセブンの丘にも行きました)


しかし、メビウスと言えば、メビウスの輪。終わりがない。
止められないチェーンスモーカーを密かに願ってのネーミング(と勘ぐられるぞ!)。

自分はたばこは吸わないので、癌になるリスクを犯してまでたばこを吸い続ける人の気持ちが理解できない。飲み屋とかの副流煙による受動喫煙でえらい迷惑しているし。

複合的なタバコの問題については授業でも時間を割いて話すが、ブログでもいずれまた。

日本では健康を害することの理解が進んで、タバコ消費量は1996年をピークに2011年にはその56%まで減少した。

そのためJTは海外に眼を向けざるを得ず、今回の仕儀になった次第。

すでに、JTの海外売り上げは日本国内の1.5倍あるという。

これは、害毒を外国人に売って儲ける所業。

いくらタバコ産業で食べている人がいるからといって、他国民の健康を害してモラルもくそもない。

それは、アメリカのタバコ産業が自国の喫煙者が減少したために、日本を含め外国に大量のタバコ(マールボロとかその手の)を売りつけている構図と同一。

日本もアメリカと同じ穴の狢、というわけ。

名称だけでなくタバコそのものがこの世から消失して欲しいとの願いは、非喫煙者に共通だろう。喫煙者は自分が死んだ時、残された家族が受ける悲しみや辛さに思いを馳せて欲しい。


  (涼宮ハルヒの消失。消失してはいけないものもある)


2012年9月12日水曜日

おじいさんとおばあさん

人には祖父2人と祖母2人が必ず存在する。

その4人のうち誰に一番愛されていたと感じるか?

というアンケートをフィンランドの研究者が実施し報告した。

その結果、一番世話になった(愛されていた)と感じる順番は、

1. 母方の祖母
2. 母方の祖父
3. 父方の祖母
4. 父方の祖父

というものになった。

勿論、これは多くの人にアンケートを取ったので、自分は全然違う、という人も当然いるだろう。

もしくは文化の違いじゃないかと感じる人もいるだろう。

そこで、これと同様なことを日本でも行った研究者がいて、どうなったかというと....

これと全く同じ結果になった。

つまり、文化の差があっても、もしかしたらこのような傾向があるのではと伺わせる結果である。


さて、研究者はこのような結果が出た場合に、その原因(遠隔原因、合目性)を考える。

そこから導かれた考察とは、

祖父母から見て、娘の生んだ子供(孫)は確実に自分の血を受け継いでいるが、息子の子供は本当に自分の血を受け継いでいるか分からない(奥さんが浮気をしてよその男との間にできた子供の可能性がある)。それを遺伝子は感じ取って、より娘の生んだ子供に投資をするのではないだろうか、というもの。

血のつながりが一番確実なのは、女系。つまり、母の母だ。

身も蓋もないような考察というなかれ。

結婚している男女の浮気経験ありの割合が男女とも30%(2004年の東京と大阪でのアンケート)という、トホホな報告がある。

さらに、子供が結婚相手(夫)以外の子である割合はアメリカ、フィンランド、ニュージーランド、サウスアフリカ、メキシコでの調査では1〜30%(平均4%)だったという(日本でのデータは見つからず。怖いもの見たさで知りたかった)。


これは現在の話。

我々が、人類として誕生したのはたかだか20万年程度。
その前にお猿としての長い歴史があるわけで、その頃、我々の先祖がどういう婚姻形態をとっていてかは不明だが、一夫多妻制のゴリラと乱婚制のチンパンジーの中間、そこそこ乱婚ではないかということが、射精時の精子数から推定されている(乱婚制が強い程、精子数が多くなるように進化する)。

そうなると今よりもずっと、自分の息子の子供が自分の孫である確率はずっと低かった筈である。

そもそも、その当時のオスは自分の子供が自分の子供であることの確信が持てなかったであろう。

一夫一妻制というのは、メスがオスの積極的な子育ての協力が必要になる場合に成立する結婚制度。しかしそれには、メスが婚外交渉をやめてオスの信頼を勝ち得ていることが前提条件となる。恐らく、一夫一妻制を選択した時点で、人類の祖先のメスは貞淑になったと考えられる。

勿論、浮気で女(メス)ばかり責めるわけにはいかない。

相手の男も同様に浮気をしているわけなので(勿論一部の持てる男が浮気の相手をしまくっているという懸念もあるが、どうも上述の浮気率からみたらそうでもないのかもしれない)、男も同様にこの点では責められるべきだ。


という祖父母の孫かわいがりには、人類のこれまでの行状の一旦がかくされているという一席。

お後がよろしいようで。

(ドラゴンボール、孫 悟空)


2012年9月11日火曜日

子供の車酔いと野菜嫌い

車酔いは小さい頃に起こしやすい。

車酔いの原因は平衡感覚が攪乱されることにある。

原始人は勿論車に乗って車酔いするようなことはなかったから、これは人類が自動車を手に入れてからの話しになる。船酔いもあるが、これもお猿のころに船に乗って海に漕ぎ出すようなこともなかったろうから、いずれにせよ、車酔い、船酔い、これ自身が進化的に獲得されてなんらかのメリットをもつとは思えない。

では、お猿の頃にはどのような時に平衡感覚が攪乱されたのであろうか。
それは、神経毒を含む食べ物を食べて食中毒を起こした時だ。

その時には、胃の内容物を吐き出すことこそ毒を軽減するのに役立つ。

つまり、車に乗って平衡感覚が狂わされると、我々の体は食中毒を起こしたと錯覚して吐き気を催してしまうのだ。

車に乗り馴れれば、車で平衡感覚が狂っても食中毒ではないということが学習で獲得されて、そのうち車酔いしにくくなる。

(けいおん!!、大きくなっても体調とかで酔ったりすると辛い)


同様に、子供が野菜嫌いなのも同種の理由がある。

野草はアルカロイドを初めとする毒素を含んでいる。
人類は品種改良を重ねてその毒素の少ない野菜を作り上げてきた。

しかしお猿のころには、野草を食べて食中毒を起こすことはしばしばあったろう。
特に、子供は毒に対して弱いので(食中毒でも体力のない子供や老人がよく亡くなる)、草を嫌がるように進化していたと考えられる。

現在では、毒のない野菜がつくられて、我々は学習で生野菜でも食べられるようになったが、子供が青臭いと言って、野菜を嫌いなのにはそれなりの理由があったわけだ。

大人になってもキュウリやピーマンが苦手という人がいる。

でも毒じゃないので、早く学習して下さい(笑

(ってピーマンが言ってます)