生物個体を構成する全ての細胞も元をたどれば一つの受精卵から発生、分化したものであるから、遺伝的にみれば同一であり、裏切り者もださず協力して自分の遺伝子を残すという任務にあたることができる。
自分が残さなくても、他の細胞が遺伝子を残してくれれば、それは自分が残したことと同じであるから。
そのため、生殖細胞は安心して自分の遺伝子を残すし、体細胞は安心して生殖細胞がそれに専念できるように裏方から支える。
それが多細胞生物の実情である。
しかしその中にあって、がん細胞は多細胞生物の裏切り細胞である。
手足の筋肉細胞は動物が移動するため、ものを口に運ぶため、日夜働いている。
心筋細胞も日夜、全身に血液を送り届けている。
自分の本分をしっかり弁え、与えられた仕事をしっかりこなしている。
しかし、がん細胞は、自分勝手に増殖し、自分の遺伝子のコピーをふやすことだけしか考えない。
そしてその結果、多細胞に回る筈の栄養を横取りして、正常な細胞の働きを妨げ、最終的には個体全体を死へと導く。
しかし、その個体の死によりがん細胞も潰える。
まるでアリの集団の中に出現するフリーライダー(只乗り)が最終的にはアリのコロニーを自滅に追いやるかのようだ。
ヒトの場合には免疫系により日々出現しているがん細胞はやっつけられている。
つまり、ヒトの体においても、フリーライダーの出現に対してちゃんと対策をとっているのだが、残念にもその監視の目をかいくぐってしまったものががんになるのだ。
アリのコロニーでもこのフリーライダー、裏切り者は厳しく監視されている。
(明日につづく)
ルルーシュもかなり自分勝手なヤツだったが
生存説が根強いのは、死なすには惜しいヤツだったということか
0 件のコメント:
コメントを投稿