自分の母親である女王が生む卵を大事に育て上げる。
その卵から生まれるのはそのほとんどがメスの働きアリや働きバチ(話がくどくなるのでアリに話をしぼる)。
つまり、働きアリ(ワーカー)は母親が産む妹を育てているのだ。
なぜ、ワーカーは自分で卵を産まずに、妹が増えるのを助けるのであろうか。
働きアリは自分では子供を実質産めないのだが、そういうしくみの話をしているのではなく、なぜ、そんなへんちくりんなしくみが進化の過程で発達してきたか、だ。
実はアリ(ハチも)では、ちょっと変わった遺伝子の伝わり方をする。
アリもハチも、メスは二倍体(2N)だが、オスは一倍体(1N)なのだ。
*人間は二倍体で、お父さんとお母さんから遺伝子のセットを1つずつもらうために、2セット、遺伝子を持っている。これを二倍体の生物という。一倍体の生物というのは、遺伝子のセットを1つしかもっていない生物。一倍体で生きられるのは特殊な生物だけ。
つまり受精卵はメスになり、未受精卵がそのまま発生するとオスになる。
この代わった性決定がとんでもない影響をもたらす。
以前のブログを参照
http://ushitaka7.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html
その結果、自分が産んだ子供はメスにせよオスにせよ、自分の遺伝子の半分しか有していない(血縁度0.5)なのに対して、女王が産んだ妹は自分と0.75の遺伝子を共有している(1Nの父親の遺伝子を全て受け継ぐので父からくる遺伝子は妹と全く同じであるため)。
つまり、ワーカーにとっては自分で卵を産むより妹を増やす方がお得なのである。
一方、女王が産んだオス(つまり弟)は自分と0.25の遺伝子しか共有していない(父の遺伝子を全く持っていない上に、母親からの遺伝子の半分しか共通性がないから)。
つまり、弟が産まれるくらいなら自分の子供を育てた方がましである。
話をまとめると、ワーカーにとってのメリットは次のようになる。
妹を育てる>自分で子供を産み育てる>弟を育てる
しかし、女王にとっては息子も娘も同様に自分の遺伝子を半分もっているし、どちらも産みたい。
もし女王がコロニーを完全にコントロールしているのなら、息子の比率は半分になるはずだが、実際はほとんどが娘だらけだ。
調べてみると、オスになる卵を女王が産んでもワーカーがその幼虫を殺していることがわかった。
つまり、コロニーの主導権は女王にあるのではなく、ワーカーにあることが判明した。
女王は家畜のようにメスの卵を産まされ続けているのだ。
遺伝子はこのように、ワーカーに弟殺しを実行させる。この殺伐とした現実 (>_<)
殺伐とした現実からアニメに逃げても、そこまた殺伐とした風景が広がる
まどマギ、きゅうべえ
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