2014年1月31日金曜日

ネアンデルタール人は絶滅したか?(2)

ネアンデルタール人と現生人類の間に性的な交流があって、その両者の子孫が残され、現在もその混血の遺伝子をもっている人が生き残っているかどうか、はとてもロマンを掻立てられる問題である。

現生人類は約25万年前に誕生したと考えられている。

つまり、ネアンデルタール人と少なくとも25万年前には分岐したと考えられる。

ミトコンドリアDNAの中で類縁関係で調べられるDループと呼ばれる領域のではおよそ1万年につき一塩基の変異が生じるとされる。

これを考慮すると、もし、ネアンデルタール人と現世人類が再び交雑したと考えると、現代のヒトのミトコンドリアDNAのDループ中におよそ25カ所の変異が幅がなくてはならない。

しかし、ヨーロッパのある地域の人々100人のDNAが調べられたところ、平均してたかだか3カ所しか個人差はなかった。

このことは、これらのヨーロッパ人がすべて現生人類か、すべてネアンデルタール人か、どちらかを示唆する(もちろん、後者ではない)。

つまり、混血はなかったとDNAは教えてくれる。

さらに、2006年から2008年にかけて行われたネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの全配列解析からも現生人類との交配の証拠は見つからなかった。

しかし、2010年、アフリカのネグロイド以外の現生人類には、絶滅したネアンデルタール人類の遺伝子が1-4%混入しているとの研究結果が発表された。

この研究結果が正しければ、出アフリカ後に中東を経てヨーロッパからアジアにまで拡がって行った現生人類は約3万年前に絶滅してしまったネアンデルタール人類の血をわずかながらも受け継いでいることになる。

ミトコンドリアDNAは母系遺伝するので、ここから分かるのはネアンデルタール人の女性が現生人類との間に子供をなした、ということ。

人類の歴史を見ればわかるように、征服者が被征服者の女性を戦利品扱いして我がものにすることは多々ある。

現生人類がネアンデルタール人を征服して女性を略奪したという悲しい出来事が過去にあったのかもしれない……

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