2014年2月6日木曜日

ミトコンドリアDNAの変異の速さ(2)

昨日のつづき。

では、いったいDNAの変異速度はどのように見積もればよいのだろう。

基本的には2つの方法がある。

(1)次の世代に移る際の直接な観察によって測定する(親と子での違いをみつける)。

(2)分岐した時期がわかっている2つの異なるグループの中で蓄積された突然変異の数によって測定する。

ちょっと考えれば、(1)の方が何たって直接的だからいい。

しかし、もし変異が数万年に1つの変異が起こるようなものだったら、そのまさに変わる瞬間を捉えるというのは難しかろう。

サイクスは何組の親子を調べれば、自分たちが想定している速度の変異を調べられるかを算定したところ、1000組の親子を調べる必要があることが分かった。

それはとても大変な作業である。

そのために、違う方法で調べることになった。

それはミトコンドリアDNAの特徴をうまく利用したものだ。

細胞の核内には親からもらったDNAが1コピーずつ入っている。

しかし、ミトコンドリアの中には複数(10コピー程度)のDNAコピー存在する。

なぜ複数コピー収納されているかというと、

ミトコンドリア内における呼吸の際に大量の活性酸素が発生する。

DNAがその活性酸素のダメージを受けやすいために、それを前提に予めたくさんコピーを用意しているというわけだ。

そのために、もしそのうちの一つのコピーにたまたま変異が入った場合には、配列の異なるDNAが1つのミトコンドリアに、つまり、1つの細胞中に混在していることになる。

その状態を「ヘテロプラスミー」と呼ぶ。

http://ushitaka7.blogspot.jp/2012/08/28.html

そのヘテロプラスミーの状態をうまく見つけられれば、変異の瞬間、変異の速度を割り出せるのではないか、と思い当たった。

しかし、細胞中にはミトコンドリアは数百くらいある。

そんな中で一つのミトコンドリアの中の一つのDNAに起きた変異がそんなに都合良く次世代に伝わり広がるだろうか?

実はそこに伝わりやすいカラクリがあった。
(明日につづく)

カラクリ人形、日和号
エネルギー切れしなければ、勝てなかったかも
刀語


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