2013年5月29日水曜日

母は我が子を試す

今日は長谷川眞理子著『ヒトはなぜ病気になるのか』から。



妊娠、出産、子育て、は母親にとってとても大変なイベントである。

そのため、生まれてくる子供が育つ力のない弱い子であれば、コストをかけてまで生むことを母胎は望まない(お母さんの意識とは別にして、生物学的に言えば)。

そのため、生まれてくる子がちゃんとした生命力のある子かどうか母胎は確認する。

その方法とは…

妊娠は、母親の脳下垂体から分泌される黄体形成ホルモン(LH)によって維持されている。

このホルモンは黄体を刺激して黄体ホルモン(プロゲステロン)を作らせ、それにより流産が防がれる。




しかし、胎児にとっても流産は勿論困る。

胎児も黄体を刺激してプロゲステロンを作らせるために、ヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)を母胎の血流に分泌する(胎児も必死!)。

その時、胎児からのその働きかけが十分でないと母胎は胎児に育つ気がないと判断して流産に至る。

さらに、妊娠八週目になると胎児は自分でプロゲステロンを作り出せるようになり、母親に頼らず自分で流産を防げるようになる。

その時期になると、母親はプロゲステロンを作ってくれなくなる。

そう、その頃になると母親はもはや助けてくれない。

生きたくば自力でわが母胎にしがみつけ!、と。


では、力のない胎児の場合には、、、

そう、自分でHCGをつくることもできずに妊娠初期に流産に至る。

着床した受精卵のうち約30%は10日以内に自然流産に至っているという。

そのほとんどの場合は、染色体異常や発生異常が原因であり、正常にHCGをつくれないために流産に至る。


このように、妊娠は母胎と胎児の共同作業であり、そこには過酷な母の試験が待ち受けていた。

つまり、現在、この世に生れ出た人達はみな、そのお母さんの試験にパスした優秀な人達ばかりということ (^-^)

アニメもゲームも我慢、受験期の試練…
にパスできなかった人にも幸がありますようにw

0 件のコメント:

コメントを投稿