2012年6月19日火曜日

遺伝子の巨人、ジストロフィン

X染色体は男性に一本しかない。

そのため、X染色体上の遺伝子の変異は伴性遺伝病を男性に引き起こす。

その一つにデュシャンヌ型筋ジストロフィーがある。

その原因はX染色体上に存在する「ジストロフィン」遺伝子の変異に帰する。
ジストロフィンは筋細胞の膜上にあり筋細胞と骨格を接着させているタンパク質である。
細胞膜が破れずに筋肉が動くためにはこのジストロフィンの働きが必要である。
つまり、ジストロフィンが異常だと筋細胞が傷付いてしまい筋肉が損傷してしまう。

実はジストロフィンの遺伝子は哺乳類の遺伝子の中でもっとも巨大である。
220万文字のATGCからなる(イントロンも含む)。
X染色体に遺伝子が1000個もあるものの、ジストロフィンは1つでX染色体の1/16も占める。
ジストロフィンは通常の遺伝子の70倍の長さをもつ。

転写にはなんと16時間かかる。



*エクソンは実際にタンパク質を暗号化している部分。イントロンは転写後に切り捨てられる部分。


ジストロフィンは79個のエクソンからできており、イントロン除去後に翻訳されて3500のアミノ酸からなる巨大タンパク質になる(ちなみにたんぱく質の平均アミノ酸は約400アミノ酸)。

*アミノ酸の長さで言えば、ヒト最大のタンパクはタイチン(titin)。
タイチンは27000個のアミノ酸からなる。これも骨格筋の収縮に関与する。
巨大ゆえタイタン(titan、巨神)からその名をつけられた。


(ナウシカより、巨神兵)



ちなみに、現在見つかっている中でもっとも小さなタンパク質のギネス記録は日本人が見つけたショウジョウバエのPRIタンパク質の11アミノ酸。アクチン骨格形成に関与している。

http://www.nibb.ac.jp/press/070502/070502_open.html

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