2012年11月10日土曜日

上がって下がる

アリクイは蟻を食べるのに特化した体に進化しため、蟻が絶滅したらアリクイも絶滅する。

たとえその時になって「あちゃー、失敗した!」と気付いても、セーブポイントまで戻りそこからリスタートできない。

時間を後戻りできないように、生物進化も決して後戻りできない。
すでにある手持ちのものを使って、やりくりするしかない。

生物はその時々の都合で、改築に改築を重ねてきた歴史を背負っている。


ヒトの体もそうだ。

4本足の哺乳類が二足歩行を選んだために、さまざまな困難に直面することになった。

例えば、重力により内臓が垂下がるのを防ぐために骨盤を大きな器にしたり、肝臓を横隔膜にしっかりと貼付けたりしなくてはならなくなった。

先祖から受け継いだからだのしくみをその場しのぎでやりくりするために、おかしなことになることも。

たとえば、男性の輸精管(下図の青い管)。

陰嚢の精巣から精子を運ぶ輸精管だが、図をみれば分かるように、かなり遠回りして尿道に合流している。なぜ、もっと近いルートをとっていないのであろうか。
と疑問が湧かないか?




この図では骨が描かれていないため、その理由が分かりにくいが、実は、輸精管は骨盤をくぐっているのだ。


魚の精巣は胸から尾にかけての位置にあるため、人間で言えばへそあたりにある感じか。

つまり、昔は輸精管は最短ルートを通っていたのだ。

しかし、その後の進化の過程でどんどん精巣は下降したのだが、いったんつくられた輸精管のルートは変更することができずに、現在では長い迂回路になってしまっている。

プラモのように一度分解して再度組立てられたらよいのだが、そうはいかない。


2009年はダーウィンの『種の起原』出版から150年を記念しての『ダーウィンの夢』(光文社、渡辺政隆)は好著。



(http://www.amazon.co.jp/ダーウィンの夢-光文社新書-渡辺-政隆/dp/4334035558/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1344081595&sr=8-1)

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