2012年7月12日木曜日

ミトコン(その3)こぶりはお得

原核生物(細菌、バクテリア)はどのようにエネルギーを作っているのか。

呼吸で電子伝達系を駆動して、水素イオンを細胞の外にくみ出すことで、細胞内部と細胞外部のpHの濃度勾配を形成させる。呼吸のエネルギーで水を汲み上げているようなもの。

それを膜を介して再度、細胞内に落とす際に、エネルギー(ATP)をつくる。
つまり水(水素イオン)力発電。

(ダムよ、泣くな)


しかし、細胞膜の外にくみ出した水素イオンはそのままではすぐに環境中に拡散してしまう。



そのために、細胞が用意したのは細胞壁のバリアー。
これなら細胞膜の近接した空間に水素イオンを溜めておける。



ただし外部が酸性の環境であればそれも必要ない。
事実、酸性温泉にすむテルモプラズマは細胞壁をもっていない(水素イオンを汲み上げる必要もない?)。


(エヴァより、温泉ペンギンPENPEN)


細胞が大きくなると、表面積が大きくなりエネルギーが沢山作れることになって一見ハッピーのようにみえる。
しかし、その時には細胞の体積も大きくなりエネルギーの消費もふえてしまう。

表面積が直径の2乗に比例して大きくなるのに対して、細胞体積は直径の3乗に比例して大きくなる。

つまり細胞が大きくなる程、エネルギーを作るより使う方がふえてしまうために効率が悪くなる。

この観点から、原核生物にとって小ぶりの細胞の方がお得!なのである。

(ハルヒちゃんより、こぶりのあちゃくらさん)


そのため、巨大な原核生物は存在しない。


さらには、細胞壁をもったために細胞はアメーバーのように変形できないから、小さい細胞を呑み込んで食べるという動物細胞型の捕食行動もできないため、その点でも巨大化するメリットもあまりなかった。
(大きくなれば食べられにくいかもしれないが)。


では一方、真核生物はそれをどのように解決したのか?
(つづく)






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