ミトコンドリアDNAは進化の指標としてよく使われる。
近縁種の類縁関係の推定にもよく使用される。
それはなぜかというと、ミトコンドリアDNAが核のDNAに比べて変異のスピードが20倍速いから、系統間の差が見やすいため。
ではなぜ、核のDNAより変異速度が速いかというと、ミトコンドリアDNAがダメージを受けやすいから。
ミトコンドリアは呼吸器官であるが故にダメージを負いやすい。
呼吸に伴って電子伝達系で酸素分子が水分子に還元される過程で、反応性が高い凶暴な活性酸素(ROS)が不可避的に発生する。
それがミトコンドリアDNAを傷つける。
(ROSのイメージ、Fate/Zeroよりバーサーカー)
ミトコンドリア中にDNAがある限り、DNAはROSにより傷付くことになる。
全ての生物でミトコンドリアに本来あった遺伝子が核へと遺伝子が移動しているが、その理由もここにあると考えられている。
DNAを核に避難させることは、安全なシェルターにDNAを避難させるようなもの。
沈みゆく舟からヒトが逃げゆくようにミトコンドリアからDNAが核へと逃げていっている。
それに加えて、核で一括して細胞のオルガネラの制御ができた方が都合がよいのであろう。
細胞は地方分権ではなく中央集権なのである。
ミトコンドリアの自治裁量を大きく認めることは細胞を危うくするのであろう。
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