2012年7月23日月曜日

ミトコン(9)着ない服は捨てる

ミトコンドリアがもともと独立した生物(原核生物)だった頃にはどのくらい遺伝子をもっていたのか?

大腸菌は4289個のタンパク質の遺伝子を有している。

男一匹、厳しい自然界で一人で生き抜くには、そのくらいの遺伝子は必要なのだろう。

自給自足で生きていくのに必要なものを全て調達しなくてはならない。


方や、細胞内に寄生する原核生物であるマイコプラズマ類は467個しか遺伝子を持っていない。

細胞の中にある必要なものを好きなように使えるので、DNAの材料とかを自分で合成する必要がない。
お抱えの料理人を抱えている貴族のような感じ。



それにしてもなぜ遺伝子を失うか?

もともとあった遺伝子が変異した場合に、その遺伝子を必要としている場合には、その個体は死んでしまうから、その遺伝子を失うような個体は後世に残り得ない。

しかしその遺伝子を失っても生きていける場合には、遺伝子を失う子孫がその生物の集団中に出現する。

なくてもよい遺伝子はこのように変異が蓄積してゆく。


ヒトの場合、先祖のおサルさんが植物から十分にビタミンCを摂取できたために自分でつくる必要がなくなった。そのために、ビタミンCの合成のための遺伝子を失っても先祖は死ななかった。
そのために、人間はビタミンC合成遺伝子を失ってしまった。

さらに言えば、なくてもいいならその遺伝子は失われる。
なぜならば、遺伝子が失われてその分DNAが短くなれば、複製する時間も短縮されて、その方細胞は速く増殖できる。特に細菌は速く増殖することが命。そうでないとライバルに負ける。

別の細胞内寄生性の原核生物であるマイコプラズマも834個の遺伝子しかもたないが、今まさに身軽になろうとしている過程が観察される。

全ゲノムの1/4近くは変異だらけのぼろぼろの偽遺伝子と化している。
これらもいずれゲノムから失われる。

細胞増殖を引越に例えるならば、遺伝子は家財道具。
使わない家財道具を毎回持って引越するより、捨てていった方が随分楽。

着なくなったけど、いつか着るかもしれないからこの服捨てずにとっておこう、とは細胞は考えない。
そんなことをしていると部屋(ゲノム)の中は服(遺伝子)であふれかえる。
今必要ないものは捨てよう! だ。


でも、近視眼的に振舞っていいものだろうか。
夏に冬服着ないからと言って、それを捨てたら冬になったら困らないか?

いい質問だ。

これに関して、つづきは明日。

(となりのトトロの頃の引越は家財道具も少ないしのどかだ)

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