2012年7月20日金曜日

ミトコン(8)キーパーツ

渋滞に巻き込まれると誰しもイラつく。



しかし渋滞でイラついたからと言って、周囲の公共物を破壊したり普通しない。

(Carnival Phantasmより、バーサーカー)

良い子はそんなことはしない。


ミトコンドリアが絶対に手放せない遺伝子があることは話した。

それは電子伝達系の遺伝子である。

一番ミトコンドリアの遺伝子を手放してしまっているマラリア原虫ですら、そう。
たった3つのタンパク質の遺伝子しか有していないが、その3つとも全て電子伝達系の遺伝子。

電子伝達系の遺伝子はどうしてそんなに重要なのか?

電子伝達系のおさらいだが、
酸素(O2)を水(H2O)に変換する過程で、膜を介して水素イオンを汲み上げることで水素イオンの濃度差の勾配をつくることがその働きである。



電子伝達系ベルトコンベアー上で酸素は電子をもらい水へと還元される。

しかし電子伝達系の流れが滞った場合には、その中間産物(活性酸素)が行き場を失って暴れ回るのだ。

DNA、タンパク質、脂質、全ての細胞内成分を酸化する。


交通渋滞にまきこまれて暴れ回る大人げない感じ。


電子伝達系ハイウェイはスムーズに流れることが最重要なのだ。

つまり、電子伝達系ハイウェイはエネルギーを産み出すために重要な経路であると同時に、渋滞したら害毒をまき散らす危険な存在なのだ。

そのために、電子伝達系の管理には細心の注意が必要なのである。

このように電子伝達系は取扱いが難しいため、同じく電子伝達系を持っている葉緑体も電子伝達系の遺伝子を手放してはいない。

それと対照的に、電子伝達系をもたない「ヒドロゲノソーム」は全ての遺伝子を手放してしまっている。

*解説しよう。ヒドロゲノソームとは嫌気性生物に存在し電子伝達系を介さずにATPを産生する細胞内小器官である。ミトコンドリアの近縁と考えられている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ハイドロジェノソーム


電子伝達系に関与するタンパク質は50を超える。
しかるに、僅かの数のみの遺伝子しかミトコンドリアは持っていない。

それなのに、ちゃんと電子伝達系が組立てられるの?

いい質問だ。

実はミトコンドリアが手放さない遺伝子は、電子伝達系の組立に際して土台となる最も重要なタンパク質。それに乗っかる形で、核ゲノムに暗号化されている電子伝達系のタンパク質が寄り集まってきて適正量の電子伝達系が構築される。

つまり、キーパーツさえもっていれば大丈夫なのだ (o^-')b



(カチューシャパーツのないハルヒは???)


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