(死の天使サリエル)
(参照:サキエル)
アポトーシスが起こるシグナルは外から来る場合(外から命令されてのアポトーシス)と、内部からのシグナルで起こる場合(細胞の自ら判断してのアポトーシス)がある。
前者はカエルの尾の消失に伴うプログラム細胞死などの発生途中に起こるアポトーシスの場合であり、後者はDNAダメージ等で細胞が傷付いて自殺を選ぶ場合等に観察される。
このどちらの場合にも、ミトコンドリアがその実行に関与する。
研究者にとって衝撃的だったのが、アポトーシス時にミトコンドリアから漏出したチトクロムcがそのアポトーシス実行に関与していたことだ。
チトクロムcは、ミトコンドリアの呼吸鎖、電子伝達系の電子の授受を行っている重要なタンパク質。
アポトーシス時には、チトクロムcがミトコンドリアから漏れ出して、細胞質に存在するApaf-1に結合して、それによりカスパーゼ(プロテアーゼの一種)が活性化し、核膜タンパク質ラミンなどの細胞成分が切り刻まれ、核の断片化等が引き起こされる。
(細胞の分子生物学より)
このように、生存と死という両局面をミトコンドリア(チトクロムc)が制御していることから、ギリシャ神話の双面のヤヌスにも例えられる。
(ヤヌス)
(もひとつ顔をもっていたら、アシュラマンと呼ばれていたところだ)
酵母も同じくチトクロムcがアポトーシスに関与している。
(単細胞生物におけるアポトーシスに関してはいずれまた)
ただし、植物、ショウジョウバエ、線虫ではミトコンドリアはアポトーシスに関与するものの、チトクロムcはアポトーシスに関与していないらしい。
ということは、ミトコンドリアの隠し球はその他にもあるということ。。
(以下次号)