2013年3月31日日曜日

プラチナデータ

今日、『プラチナデータ』を観た。


DNAが全てその人間の全てだ、という考えを前提にこの映画(原作は東野圭吾)は作られている。

これは正しいか?

もちろん、正しくない。

DNAから犯人の性格が分かるかというと、敢えて分からないといおう。

それは性格に関しては、後天的に影響を受ける部分が大きいから。

飼い犬は飼い主に似る、という諺はその通りで、

神経質な親に育てられたら、神経質な子供が育ちやすいし、
おおらかな親に育てられたら、おおらかな子供が育ちやすい。

その際に、DNAにどのような影響が及ぼされているかはよく分かっていない。

DNAへの影響、というのはDNAの配列が変わるのではなく、DNAとDNAが巻き付いているヒストンタンパク質がアセチル化やメチル化という修飾が行われている、かどうかということ、

それらの修飾により、遺伝子の発現が異なってくる。

それがエピジェネシスと呼ばれる現象。

持っていても使われないと、その遺伝子はないことになる。

そういうことは普段、よく分化された細胞でみられる。

同じ細胞と言えば、毛母細胞が眼球を作るタンパク質は作っていない。


ただ、全国民のDNA情報があれば犯罪者が摑まりやすくなることはない。

しかし、そういう社会に住みたいか、という問題は別問題である。

刀語、ノイタミナ枠で4月11日から!!
再放送だが再放送かどうかは別問題、面白いものは面白い。

2013年3月30日土曜日

焼き肉の臭い

人類が火を扱うようになってから、確実なところで12万年は経つのではないかと考えられている。

火の使用により

(1)炭水化物を食べやすくする(米のデンプンのアルファ化)
(2)肉のタンパク質が柔らかくする
(3)肉の寄生虫を殺す
(4)植物の毒性物質が除ける

(5)捕食者を威嚇する
(6)寒冷地で暖をとる

と良いことずくめで、ヒトの人口の拡大に大きな貢献をした。

人が空腹時に焼肉の臭いを嗅いだ時には抗い難い衝動を感じる。



それは肉を加熱処理するようになってから身に付いた適応的行動と考えられる。

つまり、ここ10万年そこそこで、ある臭いに対しての応答が獲得されたものだ。

抗い難い衝動。。抗わずに買う(・∀・)ノ
エヴァQ、Blu-lay近日発売!









2013年3月29日金曜日

人間の度量をみせてやれ!

女性の同性愛者傾向は遺伝的要因があるのか(女性が同性愛者になりやすくなるような遺伝子があるのか)に関してもよく分かっていない。

もしないとしたら、母胎中、もしくは生後の環境的要因で同性愛者になるということが考えられる。

特に男性化するかどうか脳が決まる胎児期に、もし母親から多くの男性ホルモンが分泌されると、男性的な脳になってしまい、その後の恋愛対象も異性より、男性となる傾向がある。

一方、いわゆる「やおい」と呼ばれる、女性が楽しむ男と男の小説やマンガの愛好者に関する研究は遅れている(アメリカにも同様なスラッシュ小説という分野があるが、出てくる男は日本と異なって美男子同士というわけではない)。

研究者の目につきだしてからまだ日が浅いからだ。

なぜ、男女の恋愛ではなくて、男性同士の物語に惹かれるのか、その生物学的意義は?

つい先日のニュースになるが
家族や友人に同性愛者がいる人の割合が57%という米世論調査が発表されていた。
これを受けて、同性婚を法律で認める動きが米国で加速するとされる。


人間は多様性をどこまで許容していけるか、その度量が試されている時代だ。

腐女子、いずれそんな呼び名もなくなるだろう、普通になって。

腐向けアニメ金字塔、ガンダムSEED

2013年3月28日木曜日

男性同性愛者にする遺伝子にもメリットがあった!

さて、なぜ男性同性愛者にする傾向がある遺伝子が存在するか、について今日はやっと結論を出す。

男性を同性愛者にするような遺伝子は子を残すということにとって非常にマイナスであるのにも関わらず、なぜ存続しているのか??

これまでにその遺伝子はX染色体上にあり、母親から伝わることが知られている。

性染色体であるX染色体は特別な染色体である。

男の細胞には1つしかなく、女性の細胞には2つある。

つまり、X染色体からしてみれば、女性の中にいる時間は男性の中にいる時間の2倍になる。

してみると、X染色体は男性よりも女性を利する(2倍)傾向があると考えられる。

つまり、男性にとってはデメリットのある遺伝子であっても、それが女性にある時にはその女性にとってそれを上回るような遺伝子であれば、その遺伝子は淘汰されないどころか、それが広まることになる。

X染色体上に存在する男性を同性愛者にする遺伝子は、女性にとっては子孫拡大に役立っているのではないかという観点から、調査が行われた。

その結果、

男性同性愛者の母の子の数       2.69人
男性異性愛者の母の子の数       2.32人


男性同性愛者の母方のおばの子の数   1.98人
男性異性愛者の母方のおばの子の数   1.51人

となり、明らかに、男性同性愛者の母方の女性の方が、男性異性愛者の母方の女性より、子供の数が多いことが分かる。

つまり、その遺伝子は女性にいる時には女性を利するが、男性にいるときには男性に害をなす。

女子限定のお得なクーポン券のような遺伝子、と言ったところか。

恐らくはその遺伝子の正体は女性ホルモンを高めて妊娠しやすくする、等の効果があると予想されている。

それが男性に持ち込まれると、ホルモンバランスが崩れて脳が女性化するというのが、もっとも考えやすいシナリオだ。

ただし、男性同性愛者は男性異性愛者に較べて五分の一しか子供をなさないというデータを考えれば、女性では5倍くらい子供を多くしないと折り合わないと思う。

だからこそ、この遺伝子はまだ限定的に存在しているのであろう。

まだ秘匿されている謎がありそうだ。

女性限定アニメ、ではない件
けいおん!


2013年3月27日水曜日

兄が弟に迷惑をかける件

なぜ、男兄弟が沢山いる弟は同性愛者になりやすいかというと(昨日の続き)、

これは人が哺乳類であることと、お母さんが女であることが大きく関わってくる。

お母さんは、お腹の中で自分と遺伝子が異なる胎児という「異物」を育てなければならない。

そのため、妊娠中の女性の子宮内では「免疫寛容」という現象が起こり、免疫力が胎児に対して低下して、胎児を異物として攻撃しないしくみになっている(詳しい機構はまだ謎)。

しかしそうは言っては、やはり異物に変りはないので、間違って子供に対して免疫が働いてしまうことが起きる。

Rh(-)の母胎でRh(+)の胎児が育つとき、血液が胎盤を通して混じり合ってしまうと、母親が胎児に対して間違って抗体を作ってしまうことになる。
そうなると、その抗体が胎児の血液中に入り込み、胎児の血球が抗体によって破壊されて、流産したり死産になったりすることがある。

これと同じ現象が男の胎児を女性が身籠ると起こる。
男しかもたない物質(HY抗原)を胎児がもつために、これが誤って攻撃対象になってしまうことがある。

このHY抗原はY染色体上にあるSRY遺伝子(男性化のスイッチ)からつくられる。

このHY抗原は主に脳細胞表面に存在しているために、これが攻撃されることで、脳の男性化が抑制されるのでは、と研究者は考えている(まだちゃんとした証明はない)。

つまり、上に兄がたくさんいればいるほど、お母さんがそれに対して抗体をつくってしまう危険性が増すことになり、その抗体によって弟が被害に遭うというシナリオだ。

兄は弟に苦労をかけているわけだ、ごめん、弟よ (;-_-) =3

「アニ」サーSOS団も祝、創立6年!

2013年3月26日火曜日

お兄さんが多いと弟は困ることに

といってもこれは弟からみたお兄さんの話

昨日のつづきだが、なぜ同性愛を促す遺伝子が受け継がれているかは未だに謎。

だが、どのような人が男性同性愛者になりやすいかに関しては最近進展があった。

カナダでのコーカソイド(白人)に対して行われた研究だが、家族構成でどのような要因が男性同性愛者を増やすか、に関して調査が行われた。

その結果、強い相関が認められたのが、兄の数。

同数の男性同性愛者と男性異性愛者を集め集計したところ、

兄の数 同性愛者の割合    
0   45%
1   53%
2   64%
3   60%
4   71%

兄の数が多い程、弟は同性愛者になりやすくなるという傾向が認められた。

これは、お兄さんに迫られまくられた結果。

というようなオチではない。
(以下次号)

アララギ兄、化物語
傷物語劇場版、期待!






2013年3月25日月曜日

ヘルパー仮説

男性同性愛者は、男性異性愛者に較べて五分の一程度しか、子供を残せない。

それなのに、なぜ男性異性愛者になりやすくなるような遺伝子が相変わらず残っているのか? 早晩駆逐されてもよさそうなものなのに。


しかし、本人が子供を残さなくても、その人の遺伝子は後代に伝わることはある。

例えば、甥(おい)や姪(めい)。

自分の兄弟の子供達である。

自分は子供を残せなくても、一部は自分と同じ遺伝子を持った兄弟(半分は両親の遺伝子を共有している)の子供であるから自分と四分の一は遺伝子を共有している。

自分の子供でも、自分の遺伝子の二分の一しか遺伝子を共有していないことを考えれば、自分の甥や姪も捨てたものではない。

十分、お年玉を奮発してかわいがってあげなければならない。

それはともかく、男性同性愛者が子供を残さなくても、甥や姪が生き残るのを積極的に助けてやると言うようなことがありさえすれば、それにより自分の遺伝子は後代に残ることになる。

こういう仮説全般を「ヘルパー仮説」という。

例えば、古代中国の宦官(男性性器を切り取ってしまったために自分では子供をつくれない)が良い例だ。

宦官は中国皇帝の側に仕えることができ、立身出世が比較的良いであった。
そのために、権力欲のある男は進んで宦官になった。

一旦、皇帝のお気に入りになれば、権力と富を得ることができた。

そのため、宦官の一族郎党も縁故つながりでのし上がることができた。


ということで、この仮説が男性同性愛者に当てはまるか聞き取り調査をしたところ、

男性同性愛者は男性異性愛者に較べて

(1)家族とは逆に疎遠
(2)叔父としても逆に金銭的なヘルプをしていない

ことがわかった。

そのために、ヘルパー仮説は男性異性愛者に対しては行き詰まってしまった (´・・`)

まゆしぃと助けるために時間遡行を繰返すオカリン!
Steins:Gate












2013年3月24日日曜日

こわい漢字(32)「言」

うそついたら、はりせんぼん、のーます、ゆびきった。

と今でも子供は遊んでいるんだろうか。

それで嘘をついて針を千本呑まされたという話は残念ながら知らないが、呑まされたことのある人がいたらご連絡下さい m(_ _)m

今回は「言」。

これは「辛」と「口」(サイ)からなる。


入れ墨をするための辛を神への祝詞を入れるサイの上に置いて、神へ誓うことば(言)をそこに捧げる。

嘘、偽りを言った場合には、入れ墨の刑に服します、と神に約束するのである。

どちらも同様な意味で使われる「言」と「語」は、もともとはそれぞれ、攻めと受け、の言葉であった(えーと、ほんまもんの合戦の話です)。

古代中国殷には、実際の武力行使の前に両軍の口合戦が行われた。

そこでは言葉が呪術として使用されて、相手を威嚇したり呪うための言葉を相手に浴びせかけた。

お前のかあさん、でべそ、ってまだ子供は言ってるのか知りたい(・∀・)



2013年3月23日土曜日

こわい漢字(31)「辛」

みるからに曰くありげな「辛」いの文字。

これは、取っ手のついた大きな針の象形文字である。


これは入れ墨の際に用いられていた。

この針で入れ墨をされる時の痛さが「辛」(つらい)になった。

口の中の痛さは「辛」(からい)となる。

ではどういう際に、この針を用いて入れ墨を施したかというと、

それを示しているのが「妾」(めかけ)。

これは「辛」と「女」からなる。


現在では二号さんの意味でも用いられる「妾」ではあるが、元々は、罪を犯した女性に入れ墨を施して神への奉仕を行わせた。

そこから、人にかしずく女性のことを「妾」(はしため)、男性に囲われている女性は「妾」(めかけ)ということになった。

さらに、男性の場合では「童」。


これは上から「辛」、「目」、「東」、「土」からできている。

「東」と「土」からできている「重」は音を担っている。

罪を犯した男性は、目の上に辛で入れ墨の刑を受けた。

受刑者(童)は、結髪を許されず、ざんばら髪であった。

そのため、同様の髪型をしていた子供のことを、後に「童」(わらべ)と呼ぶようになった。

しかし、元々は受刑者だったために、「童」にはしもべの読みもある。

今では童謡というと子供の歌と思われているが、元々は受刑者の労働歌を童謡と読んだ。

そこには呪術的な性格が籠められており、もちろん、怖い内容のものもあっただろう。

児童のみなさん、童謡を心して歌いましょう(・∀・)ノ


ジョジョ第二部も佳境!
今は大きな童がアニメを楽しむ時代です。
時代は変わるのです、うん!(`・ω・´)


臓器の左右不均等がもたらす男性脳、女性脳

性ホルモンが脳を発達させることが分かっている。

男性の場合には睾丸で、女性では卵巣でそれぞれ性ホルモンがつくられる。

理由は分かっていないが、睾丸は右の方が大きい傾向があり、卵巣は左側が大きい傾向がある。

そのため、睾丸は右の方が大きい場合には、そこからつくられる男性ホルモン(テストステロン)が右脳の発達を促す。

左側の卵巣が大きい場合には、そこからつくられる女性ホルモン(エストロゲン)が左脳の発達を促す。

男性と女性が身体だけでなく、脳も違ってくることは周知の事実。

本当に上記の事実が確認されるか、カナダの大学キャンパスで被験者アンケートがなされた。

アンケート項目

(1)左右どちらの睾丸(女性の場合にはおっぱい)が大きいか?
   *左の卵巣が大きいと左の乳房が大きくなることが知られている。

(2)数学適正、折り紙、標的狙い(男性脳が得意とされる)

(3)Aで始まる言葉探し、同じ絵探し、カテゴリー分類(女性脳が得意)

その結果、次のような傾向が見られた。

① 右の睾丸が大きい男性(一般的な男性)は男性脳が得意とされる分野が得意
② 左の睾丸が大きい男性(マイナーな男性)は女性脳が得意とされる分野が得意(女性以上に)
③ 左のおっぱいが大きい女性(一般的な女性)は女性脳が得意とされる分野が得意
④ 右のおっぱいが大きい女性(マイナーな女性)は男性脳が得意とされる分野が得意(男性以上に)

つまり、男性脳、女性脳は、生殖器の大きさの偏りで決まるべくしてきまる、と言える。

②と④のケースでは同性愛者が増えると思われる。


左右の臓器の大きさの比率って大事ですね!

ガンダムも右利き

2013年3月21日木曜日

お母さんが息子を同性愛者にする!

一昨日の男性を同性愛者にする遺伝子の話のつづき。

ではその遺伝子はやっぱり、男性である父親からくるのだろうか?

しかし、調査の結果、男性同性愛者の父親が同性愛者であるという証拠は見つからなかった。

ということは母親から遺伝子がきているのか?

ということで、調査の対象を広げたところ、母親方のおじや従兄弟に同性愛者がいる確率は父親方のそれらに較べて有意に高かった。

このことは、男性を同性愛者にする遺伝子は母親から息子にもたらされることを示唆している。

逆に父親からは遺伝しないことが分かってきた。

なぜかというと、この遺伝子がX染色体上にあることが分かったから。
(男性のX染色体は必ず母親からもたらされる)

しかし、残念ながらその遺伝子がどんなものなのかはまだ同定されていない。

母親が息子をゲイにして何が嬉しいのか(メリットがあるのか)?

ということは、追って明らかにしたい。

アニメをみて何が嬉しいのか?
楽しっしょ! (・∀・)ノ

2013年3月20日水曜日

暴力的にさせる程度の能力、をもつ遺伝子

昨日のつづき

男性を同性愛者にしてしまう遺伝子というと、そんなのあるの?と首を傾げる人がいる。

人間の子が人間に生まれるというように、形態に関してはそれが遺伝することは自明のように認められる、のに対して、性格が遺伝する、という話になると、「それホント?」と眉を顰める学生がいる。

親の性格が子に遺伝する、そんなことはないと思っている。

つまり、自分の性格なり、思考は自分がはぐくみ、育てたものであると、と楽天的に考えている。

しかし、それは半分は合っているが、半分は間違っている。

性格のすべてが全てが遺伝子で決まる訳ではないが(環境的要因もあるから)、ある遺伝子をもっているから、性格がそのような傾向になるという遺伝子は数多く見つかっている。

最初に人間の行動の遺伝子として発見されたのは1993年の「暴力遺伝子」。

この症状は「ブルンナー症候群」

http://en.wikipedia.org/wiki/Brunner_syndrome

これは家族性の病気で、原因遺伝子がわかってみると、脳内の神経伝達物質の一つセロトニン(精神を安定させる働きをもつ)などを分解する酵素、モノアミンオキシダーゼの遺伝子のDNA配列が、病気をもっている人では一つの塩基(ATGC)が変化していたために、酵素が働けなくなっていた。

それによって、セロトニンなどの神経伝達物質の濃度が通常よりも高くなってしまったために、そのような暴力的行動を引き起こすのであろうことが、分かってきた。

所詮、人間の感情、思考は神経細胞の伝達経路のやり取りで起こる電気パルスに還元できる。

神経伝達物質が異常であれば、神経細胞同士の連絡がうまくいくいかなくなり、正常な思考、感情が産み出せなくなる。

この遺伝子はX染色体上にある。

男性はX染色体を一つしか持たないために、この変異した劣性遺伝子をもったX染色体が1つ男の子に渡ってしまうと、即発病してしまう。

一方、女の子の場合には、X染色体を2本もつために、異常な遺伝子をもつ染色体が両親のどちともから受け継がれる確率は極めて少ない。

そのため、「ブルンナー症候群」はその家系の男性だけに見られる。

バーサーカーさん、Fate/Zero、アイリ相談室
狂気は人を強くする(笑)

2013年3月19日火曜日

男性を同性愛者にする程度の能力、の遺伝子

竹内久美子『同性愛の謎』ネタが続きます。


以前のブログにも書いたように、

一卵性双生児は生物学の研究に非常に有用なデータを提供してくれる。

http://ushitaka7.blogspot.jp/2012/05/blog-post_4854.html


どのような形質が一体遺伝子でどのくらい決められてしまうのか?

遺伝子決定論でいくと、残念な遺伝子を持って生まれた人はどうがんばっても、東大に入れないし、ボルトのようには走れない(多分、これは真実)。

一方で、「氏より育ち」という言葉があるように、人間、生まれついた資質の中でどのように育つかは環境やその人次第というのも、実感するところ。

最初に結論を言ってしまえば、遺伝子によって、ポテンシャルの上限は決まってしまって(立ち位置は決まってしまって)、そこを中心にした円の描いて、その円の中で生物はその形質を発現させることができる。

どう頑張っても、鳥の遺伝子を持っていない人間は、鷲のように大空を羽搏けないし、植物の遺伝子をもっていない以上、縁側で光合成して生きていくことはできない。

しかし、その円の半径の大きさが知りたいところ。

半径が大きければ、誰でもがんばれば、100 m、10秒台で走れるようになる筈。

そもそも、ある形質(アニメずき)とかが、遺伝で決まっているかどうかもまだ調べられていない(誰か調べて下さい)。

という文脈で、男性を同性愛者にしてしまう遺伝子があるのかないのかが、一卵性双生児を用いて調べられた。

もし一卵性双生児の片方A君が同性愛者であった場合、もう片方のB君が同性愛者であるかが調べられた。

その時に、対象の比較として用いられるのが二卵性双生児(遺伝子は異なるが、一卵性双生児と同様に、育てられる環境は同じ)。

もし、有意に一卵性双生児の方がその割合が有意に高ければ、遺伝的要因が認められることになる。

お待たせしました、結果発表です!

片方が同性愛者なら、もう一人も同性愛者である確率は

一卵性双生児 52%
二卵性双生児 22%

二倍以上、一卵性双生児の方が高い。

つまり、遺伝子的要因が男性同性愛者に認められる。

つまり、男性を同性愛者にする遺伝子が存在する、ということ。

しかし、ここでコメントしたいのは、

その遺伝子があっても、半分は同性愛者にはならない。

「男性同性愛者」遺伝子をもつと、半分の確率で同性愛者になる。

これはすごい確率。

例えば、50%の確率で東大医学部に合格できる遺伝子、というのを創造してみよう ^-^;

50%の確率で「きのこの山派」にする遺伝子! とかw

Type-moonを100%好きになる程度の能力をもつ遺伝子
祝、10周年!



脇毛を剃ってはいけない理由とは?

女性が隣をすれ違って髪の毛のトリートメントの匂いが香ったり、おっさんが隣をすれ違って汗の臭いが臭ったり、と人間は人からいろいろな「におい」のメッセージを受け取る。

先日触れたように、男性からは男性フェロモンが、女性からは女性ホルモンがメッセージとして出されるが、それらは臭いとしては感じられない(くらい微量)。

だが、脳は反応する。そう、無意識に。

さらに、個人個人で微妙に異なるフェロモンを出していて、それが異性に対するメッセージになっている(これに関してはいずれ稿を改めて詳しく)。

男性フェロモンは、汗に一番多く含まれる。

アポクリン腺という汗腺から出る(別の汗腺であるエクリン腺からではなく)。

アポクリン腺が多く存在するのは、脇の下や下腹部に限られる。

脇の汗が臭いのは、アポクリン腺から出される皮脂がバクテリアにより分解されて臭いを発生する物質に変わるからである(もともと汗が臭いわけではない)。

アポクリン腺があるフェロモンを出す場所はフェロモンを長い間放出し続けることが求められる。

そのために、フェロモンを徐々に放出するような機構がある。

それが体毛である。

人の体毛で縮れている毛があるとしたら、それは揮発性の物質を長時間溜め込んでおくためのもの。直毛より液体を保持しやすいため。

なので、脇毛を剃ってしまったら、フェロモン放出するためにはマイナス。

異性にモテようと思えば(笑)

モジャ男、大泉洋もメジャーになった



2013年3月17日日曜日

こわい漢字(30)「義」

羊は生け贄になるものの、あんまりこわい話がなかったが、今回は違います笑

「羊」と「我」からなる「義」。



「我」は鋸(のこぎり)を表す字。

古代中国殷で「我」が鋸のいみでは使われた例は見つかっておらず、すぐに同音であった「わたし」の意味に仮借(かしゃく、音だけ借りて別の意味に使われること)して用いられたようだ。

裁判の儀式のために羊をのこぎりで切っている字が「義」。

そういえば、儀式の「儀」にも確かに「羊」が使われている。

その儀式の供物とする羊を切って、神に内臓まで含めてその美しさを示した。

その完璧なることを「義(ただ)しい」と言った。


更には、真打ち登場、犠牲の「犠」。

旧字は「犧」で「牛」、「羊」、「我」、「コウ(朽のつくり)」からなる。

「コウ」は羊の切断された後脚を表す。

これになんと「牛」までおまけして神に供物を捧げている姿が、「犠」である。



じゃ、「儀」は「人」が生贄におまけされたのか(´・ω・`)?

というと、どうも人の「儀礼」を表す字らしい。

よかった、よかった (*^ω^*∩

鋸ネタ(チェーンソーですが笑)、二発!


グレル、これでも死神DEATH!!
黒羊

2013年3月16日土曜日

こわい漢字(29)「美」

以前、テレビかなにかで、「美」は「羊」が「大」きいと書く、つまり、大きい羊の美質を誉め称えるところから、「うつくしい」の意味になった、ときいた。

しかし、どうもそれはガセだったようだ(苦笑)

「美」は単に牝羊を後から見た形。

成熟した牝羊の美しさ、美質を表したことばだった。


ついでに、子羊で「かわいい」を表す漢字があっても良かった (^-^)


そして、その牝羊が子供を産んでいる姿を後から眺めたものが「達」。

羊は安産で、子供がするりと滑るように勢いよく生れ出る、ので、滞り無く物事が進むことの意味になった。



人でもこれくらいするっとお産ができれば、出産の「達」人。


特に今回はこわくなかったが、せめて女性の出産のツラさを創造してその代わりとします。

Fate/Zeroの画面の美しさ、クオリティーは半端なかった

同性愛者の行動原理

一昨日の話題のつづき。

男性は異性との交渉に積極的であり、それに対して女性は消極的である。

それは残せる子供の数が違うことに起因する。

では同性愛者は子供がそもそも残せない(残らない)のだから、どのように行動するのだろうか?

加えて、

男性同性愛者の脳は男性フェロモンに官能する(女性脳になっている)。
女性同性愛者の脳は女性フェロモンに官能する(男性脳になっている)。

と複雑だ。

それに関してアメリカで調査が行われた。

(1)男性同性愛者


① 過去一年間に関係をもった相手の数


50人以上 25%
20〜50人 25%
7〜19人   30%
6人以下   20%

② 過去の経験者の数

100人未満  23%
100人超   75%
1000人超 27%

③ 過去一年間に、性交渉を目的に出歩いたことがあるか。

ほとんど全てが「ある」

凄いですね。いや、恐れ入りました (^ ^;

(2)女性同性愛者

② 過去一年間に関係をもった相手の数

大半が1〜2人

③ 過去の経験者の数

大半が10人未満


③ 過去一年間に、性交渉を目的に出歩いたことがあるか。

ほとんどが「ない」



これから、男性同性愛者は男性異性愛者と同じように行動し、女性同性愛者は女性異性愛者と同じ行動原理をもつということが分かった。

つまり、元々は子供がどれだけ作れるかということを基準にして脳が作られていた筈だが、子供の数には無関係に脳は男性なら男性脳として、女性なら女性の脳として振舞うようにできているとも言える。


そして、ベッドに誘われた場合に男は「イエス」と答えるが、女は「ノー」と答える、ということを思い出してもらえれば、なぜ男対男がすんなりと交渉成立するので相手の数が多くなる(それに手当り次第に口説くから)のに対して、女対女では交渉が纏まりにくいことも頷ける。

男性同性愛者の脳が完全に女性脳になっていないことをこの調査研究は教えてくれる。

「UC見に行かん?」、「イエス! (・∀・)ノ」
「やっぱ、俺やめるわ」、「ノーーーー!! (´;ω;`)」



2013年3月14日木曜日

同性愛者の割合

昨日も言ったように、

同性愛者(バイセクシャルを含む)は子を残しにくいとされるのに、なぜそのような行動が存在し、かつそれに関連する遺伝子が人間に残り続けているのか、というパラドックスに答えを導き出そうというのが、『同性愛の謎 なぜクラスに一人いるのか』(竹内久美子)である。

実際に、男性同性愛者(バイセクシャル)は男性異性愛者と比べ、1/5ほどしか子を残さないという調査結果がある。

そして、これは「なぜクラスに一人いるのか」の副題ともなっている、同性愛者の割合(西洋)だが、男性の場合には、

4%  生涯にわたり同性とのみ関係をもつ
13%   16〜55歳までの間に少なくとも3年間は同性との関係をもつ(バイセクシャルの割合と考えられる)

つまり、男性が25人いればそのうちの1人は生涯、同性愛者だということ(西洋)。

日本人の感覚としたら、日本ではこの値より少ないのでは思われるが、

日本にも江戸時代には陰間(かげま)茶屋と呼ばれる、男娼のいる売春宿が存在したし、信長と森蘭丸のような戦国武将と小姓(こしょう)との関係は有名(肉体関係を結ぶことで側近が身を挺して自分を守ることを期待しての打算もあったと考えられるものの)。

というように、モラルが異なる時代には割合は今よりは高かったことが想像される。

一方、女性同性愛者は男性同性愛者より少なく、1〜2%程度。

この数字は、同性愛者が意味のある個性をもった存在だということを示唆している。

1970年代半ばから多くの仮説が登場したが決定打にかけていた。

しかし2004年、竹内言うところの画期的な仮説が提出された。

この仮説は、同性愛者が「子」を残しにくいものの、したたかに「遺伝子」を残していることを示している。

大人アニメ鑑賞者の割合は10%超え、りっぱな個性をもっていると判断される(・∀・)ノ
シュタインズゲート、4月20日劇場公開!








2013年3月13日水曜日

同性愛が存在する理由とは?

昨日の性フェロモンと一昨日のトリュフ豚は竹内久美子『同性愛の謎 なぜクラスに一人いるのか』(文藝春秋社 文春新書)


これは授業で触れたが、なぜ同性愛なるものが存在するのか、その合目性に関しては謎である(同性愛になりやすいしくみに関して分かってきてはいる)。

生物は子供を残してなんぼのものであるため、繁殖行動に直結しない同性愛的行動が存在している理由が解決されていないのだ(そういう嗜好をもたらす遺伝子があったとしても早晩消えゆく筈)。

なぜ、性行動に対して、男性は積極的で女性は比較すれば消極的か、というと

男性が残せる子の数(精子の数に依存)≫ 女性が残せる子の数(卵子の数に依存)

となるため、

男性、ダメ元でどんどん女性にアタック。
女性、男性をしっかり吟味する。

ということに生物ではなる。

実際に、次のような質問をキャンパスの見知らぬ異性に投げかけた場合、その相手がどのような反応を示すかと言うテストがアメリカの大学構内でなされた。

Q1 今夜、どこかにでかけませんか?(デート)
Q2 今夜、私の部屋にきませんか?(アパート)
Q3 今夜、私のベッドでいっしょに過ごしませんか?(ベッド)

日本ではQ2, Q3の質問をしたとたんに即、変態扱いして人を呼ばれてしまいそう (^ ^;

その結果、

OKをもらえた割合(%)

       デート アパート ベッド
相手が男  50     69    72 おいおい、やっぱりか笑
相手が女  53     3      0 当然ですね、(・∀・)ノ

というとてもわかりやすい結果になった。

そして、ここからが問題。

では、男性同性愛者、女性同性愛者は上記の質問にどのように反応したであろうか?
(以下次号)

ドラえもん、より改変
わかりやすいアニメがいいアニメとは限らない












2013年3月12日火曜日

ヒトに性フェロモンはあるのか?

昨日のトリュフ豚の話から一転して、我等にんげんの話へ。

ヒトにフェロモンがあるのかどうかは物質が長年見つからずに、決着がついていなかった。

しかし最近、男性フェロモンと思しき物質、アンドロスタジエノンが発見された。



この物質は男性ホルモン(フェロモンではない)であるテストステロンから合成される。性ホルモンから性フェロモンが合成されるのはとてもリーズナブル (^ ^;

これを男性と女性に嗅がせたところ、女性のみこの揮発性物質に対して脳の性的情動を司る部位が興奮した。

この化合物はすでに男性化粧品にも配合されていて、女性に対してセックスアピールを高める効果があると期待されている。

しかし、発見はこれだけに留まらない。

この時、研究者は、

①男性異性愛者(女性が好きな男性)
②男性同性愛者(男性が好きな男性)
③女性異性愛者(男性が好きな女性)
④女性同性愛者(女性がすきな女性)

の4タイプの被験者にアンドロスタジエノンを嗅がせてテストした。

その結果、脳が興奮したのは③の女性異性愛者に加えて②の男性同性愛者でも興奮した。

逆に、①と④では興奮しなかった。

つまり、男性同性愛者の脳は女性化しているために男性が好きである可能性が示唆された。

もしくは、男性同性愛者になるとそのような男性のフェロモンに敏感になるのかもしれない。


一方、女性フェロモンと目されているエストラテトラノール(こちらも女性ホルモンのエストラジオールから合成される)に関しても①〜④に関して調査が行われた。



その結果、予想通り、女性フェロモンに興奮したのは、①男性異性愛者と④女性同性愛者。

こちらもちゃーんと販売されている。



スプレーに、女性用、ゲイ用、レズ用、男性用、とあるのが芸が細かい。

流石、販売しているのは西洋。

このようにフェロモンを上手に使えば、異性を呼び寄せることができる代わりに同性愛者をも引き寄せることになる、という一席。お後がよろしいようで。

元祖フェロモンキャラ、峰不二子

2013年3月11日月曜日

なぜブタさんをトリュフ探しに使うの?(´・ω・`)

世界三大珍味の一つ、トリュフ。

トリュフは地面の中にキノコ(子実体)をつくるため、それを探すのは至難の業。

食べさせてもらえたら、コメントします(`・ω・´)


そこで、トリュフの匂いに敏感なブタをそのトリュフ探しに使う。


ピカソ画伯、画


使われる豚はメスブタである(比喩ではなく牝豚)。

なぜにメスが?

トリュフに気がついたメスブタは興奮し、鼻で地面を掘り始める。

なぜ、メスブタはトリュフの匂いに敏感なのかというと、

実はトリュフの匂いが、オスブタの男性フェロモン、アンドロステノンによく似ているからである。

そのため、メスブタはオスのフェロモンと勘違いして、地面をほじくり返し、ほっとけば、そのままトリュフにむしゃぶりついてしまう (^ ^;

たまたまトリュフがオスブタの性フェロモン類似化合物を進化的に獲得して保持していて、何か別のことに役立てているのだろうか?

その別のことは分かってはいない。

そのため、オスブタの性フェロモン類似化合物をメスブタに掘り返してもらうために発散させているのではないかと考えられている。

穿り返して食べられるその後、消化しにくい胞子はブタに食べられた後、糞といっしょに排泄されて散布される。つまり、そのようにしてブタの助けを借りて子孫をふやしているというもの。


このように、フェロモンは異性に対してとてつもないモテ効果をもたらす。

人のフェロモンがやっと最近解明された!
(以下次号!)

アニメから出されるフェロモンには抗し難いw
これは仕方ない、生理反応

2013年3月10日日曜日

こわい漢字(28)「善」

研究者は日々色々なことを詳らか(つまびらか)にしていかなければならない。

その「詳」。

「言」と「羊」からなる。



「羊裁判」で当事者の言い分、主張をつまびらかに聞いて調べることを「詳」とよんだ。

もちろん、そのときには「くわしく」調べないといけない。


これとよく似た出自の漢字が「善」。

旧字では「譱」で「言」「羊」「言」という字。



羊を中央にして、当事者双方からの誓いの言葉が両脇に添えられている。

「言」という言葉自信、祝詞をいれた小さい容器「口(サイ)」の上に針を置き、もし誓約を違えたら針で入れ墨の刑を受けることを神に誓うことを表した字。

そのため、「善」の元々の意味は当事者双方からの申立を表す言葉だったが、後代、神の意志に叶うよいこと、ただしい、ことを指す言葉となった。

善悪の概念を超えていたガンダムの世界観

2013年3月9日土曜日

こわい漢字(27)「羊」

以前、「犬」にまつわる漢字の成り立ちを紹介したが、今回は「羊」。

やれやれ、どうせ今度は羊が犠牲になって、とかいう話だろう?

と思ったあなた、その通りなので返す言葉もありません笑


邪気を遠ざけるため犬は土に埋められたが、一方、大事な動物であった羊は神に捧げるために生贄にされた。

どっちにしろ、殺されるのね (^ ^;

「羊」はみたまんまが漢字になった。


「羊」は裁判に関係する文字に使用される。

なぜならば、古代中国殷では、当事者、双方から羊を神に捧げて、裁判を神に裁いてもらったから。

その「羊裁判」の結果の予兆が「祥」。しるし、の意味になった。

「祥」は「示」に「羊」。「示」は三本脚の机で、神に捧げる供物をのせるもの。


もともとは、「祥」は単なる兆候の意味で、よいもわるいもなかったが、その後、いい兆しの「吉祥」の意味につかわれるようになり、佳字(善い意味をもつ字)になり、「さいわい」を表すことになった。

「吉祥寺(きちじょうじ)」や「吉祥天(きっしょうてん)」でお馴染み。


みくるちゃん羊も勿論ハルヒちゃんの犠牲になります





2013年3月8日金曜日

ターゲットは子供

マクドナルドは子供向けにいろいろなオマケをつけてくれる。

味覚形成は5歳くらいまでが重要で10歳くらいまででほぼ整う。

それまでに馴染んだ味が生涯を通して恋しくなるということだ。

マクドはそれを知っていて、あの手この手で子供に「マクドはおいしいよ」と刷り込みを行おうとしているわけだ。

個人的にはモスがすきです


これはマクドだけに限らずに、全ての食品関連企業が願うところであろう。

こどもはこの先、70年近く生きるいい顧客である。

老い先短い老人をターゲットにするより、子供をターゲットにする方がよっぽどコストパフォーマンスがよい。

タバコ会社もご他聞に漏れず、そう考えるわけである。

多国籍タバコ企業は子供をターゲットに据えていることが暴露された。

そのために、吸い始める若者用にニコチン量の低めのマイルドな味わいのものを開発している。

昔、タバコの銘柄のマールボロが、若者が熱狂する多くのスポーツやF1でスポンサーになっていたのもその戦略の一環。


その後、この戦略は非難を浴びて、現在はタバコのCMはテレビ等で禁止、野外の目立つ看板で禁止、と若者の眼にタバコの広告が入らないように規制が懸けられることになった。

以前紹介したアメリカの州がタバコ会社を訴えた訴訟がこの契機になった。2000年近くになってからのこと。

つい最近まで、子供はタバコ会社に狙われ続けていたのだ。

大きな子供がターゲットになっている件
まどマギ

2013年3月7日木曜日

1980年代当時の愛煙家 vs 嫌煙家

さらに昨日のつづき

そして、愛煙家は嫌煙権を振りかざす非喫煙者に対して、逆ギレの様相を呈していた。

嫌煙家作曲家の中田喜直(「雪のふるまちを」、「夏の思い出」など)

「飲料水や食物に毒性のあるものを投入することが悪であるのなら、みんなが吸っている空気を汚すのはもっと悪いはず。そういうことがわからない人が多いので嫌煙権という言葉ができたのだが、それは言葉の問題ではなく、常識の問題といえよう」


一方、愛煙家作曲家の團伊玖磨

「身体に悪いなどと言い出せば、世の中の全てのものは身体に悪い。この問題は市民生活のマナーの問題であり、差し止めとか慰謝料とか裁判に持ち込むことがおかしかったと思う。一斉禁煙などはファシズムにつながるのではないか」


とまたまた、図らずも愛煙家の本音を語ってくれている。

「身体に悪いなどと言い出せば、世の中の全てのものは身体に悪い」とは開き直るにもほどがある物言い。

「市民生活のマナーの問題」がちゃんとできてなかったからこそ嫌煙運動が起こった。

裁判に持ち込まなかったら、いつまでも嫌煙家は泣き寝入りだっただろう。こんな愛煙家がいる限りは。


追いつめられた愛煙家は逆に、嫌煙権運動をファッショだとまで言う。


中田氏はこの團氏に、

「團伊玖磨氏も随分考え違いをしているようだ。もし團氏が列車で長時間旅行していた時、隣の席の人がラジカセでガンガン音楽を鳴らしたら、やめて欲しいとか、イヤフォーンできいてくれと言うだろう」

と反論している。

それにラジカセで音楽を聞かされても苦痛だけで肺がんにはならないが、タバコの煙はそうさせる。健康を著しく損なう有害性がたばこの煙にはある。


愛煙家の悪あがきは今聞くと見苦しい、の一言だ。

真のファッショとはこういうものだ!
ギレン・ザビ



2013年3月6日水曜日

愛煙家の主張!(2)

昨日のつづき

④ 金沢大学法学者の中村茂夫教授

「既に定着したかのように見える嫌煙権なるものを、もし世間が唱えて喫煙者を責めたいというのであれば、それは自動車(並びに大部分のオートバイ等)の運転手でない非喫煙者によってせいぜい願いたい。「きれいな空気を吸う権利」が嫌煙権であるならば、これを唱えるには、他方に自動車によって汚染されない空気を吸う権利の主張が存在し得ることを心すべきである」

「私には、「権利とは相互的なものである」という味わい深い先達の言葉が想い起こされ、自動車を連ねて会場に集り、”嫌煙権!”の気勢を挙げている情景を想像すると、人間の身勝手を絵に描いたもののように思われてならない」(法学教室1986年7月号)

もちろん、自動車排ガス公害も勿論訴訟になっているし、全く間違った方向からの言いがかりであり、およそ法学者の文章とは思われないひねくれた物言いである。

⑤ 神戸大学法学者の石田喜久夫教授

「嫌煙権など細かい問題について精力を費やすよりも、もっと大きな問題に力を致すよう努めるのが、法学者の歩むべき途ではないかろうか」(法宛1981年1月号)

細かい問題、と簡単に言い切る神経がその当時の愛煙家を代弁している。

と大学の法学者ですら、他人の健康を損なうタバコの煙の害に関しての無知、無関心があった。

無関心ではいられない件 (・∀・)ノ
シュタゲ4月20日公開!!










2013年3月5日火曜日

昔々、ある愛煙家さんは言いましたとさ

昨日のつづき。

1980年に訴訟団が嫌煙権を裁判所に持ち込むと、それに対して愛煙家の学者や、いわゆる文化人による「嫌煙権叩き」が繰り広げられた。

今からみると、勝手な意見ばかりでとても面白いのでいくつか採上げる。

① 歴史物をよくする作家の澤田ふじ子

「わたくしはいつも、健全な市民の良識という美名にかくれた市民運動の暴挙を感じてしかたがない。彼らは禁煙者に対して、それを嫌う権利や自由があってもいいという。だがわたくしをふくめた愛煙家たちは、それぞれにたばこを有害とは認めてながらも、無駄のなかにふくまれている大きな効用を感じ、紫煙をくゆらせているのである。」

「嫌煙権運動の伸長を、自己主義的社会のもたらせたものであり、精神文化の停滞と卑小が、原因にあると思っている。」(1984年5月20日 赤旗新聞)

これは自分たちの権利はあるが、受動喫煙による他者への痛みがまったく感じられない、「精神文化の停滞と卑小」の持ち主としか言いようがない。受動喫煙による有害性に全く触れていない。


② 評論家の小室加代子

職場で同僚の吸うたばこの煙に悩んでいるOLの人生相談で

「そんなにいやなら、会社をやめたらいいのです。隣のオジサンは、ニコチン中毒であろうとあなたよりは会社に貢献してきたのです」

「間接喫煙ぐらいでシボむような花ならポイですよ」(1983.10.11読売新聞)

これも受動喫煙による有害性に全く触れていない、一方的なひどい物言い(笑)


③ 名古屋大学民法学者の加藤雅信

「嫌煙まではともかく嫌煙権まで言いたてられると、私個人は何か違和感を覚えないでもない。」

「たばこを喫いたい人とその煙を受けたくない人との双方が同じ場所にいた場合に、双方をともに満足させる方法はない。たばこを喫いたい人が他方に迷惑を掛けた上で我を通すか、隣人の方が喫いたい人の嗜好を犠牲にしたうえで我を通すか、いずれかであって、いわば我の張り合いにすぎない」(1985年5月判例タイムズ)

これも受動喫煙による有害性に全く触れずに、お互いの権利は同じだと主張している。

他者の健康を害まで、主張してもよい権利など民法で許される筈もなかろう。

彼らの無知蒙昧さを現在嗤うことは簡単であるが、要はこれが当時の愛煙家の主張だったのだ。

ガンダム、これを知らぬ無知を笑うことは簡単だが、敢えて許そう笑



2013年3月4日月曜日

嫌煙権がなかった1980年当時の日本

少々古い本になるが、伊佐山芳郎『現代たばこ戦争』(岩波新書、1999年刊)は非喫煙者が「たばこの煙を吸いたくない!」という今では当たり前の権利を勝ち取るまでの歴史が分かって面白い。




日本で嫌煙権という言葉が誕生したのは35年前。

その確立を求めて、当時弁護団が訴訟を起こした。

嫌煙権訴訟(http://ja.wikipedia.org/wiki/嫌煙権訴訟

日本において、1978年に弁護士・学者らが結成した「嫌煙権確立を目指す法律家の会」のうち弁護士12人が弁護団となり1980年4月7日に起こした民事訴訟

国・国鉄・日本専売公社(後の日本たばこ産業)を被告とし、国鉄車両の半数以上を禁煙化するよう、また国鉄車両に乗ることによって煙害を受けている原告に損害賠償を求めた(当時、国鉄車両で禁煙車は新幹線「こだま」の16号車だけだった)。非喫煙者の権利を主張する訴訟は日本初のもので、問題提起型の訴訟。

この訴訟において国や専売公社を被告としているのは、たばこの有害性が明確になってきた1970年代以降も国は適切な行政政策(たとえば、省令・通達における職場や公共施設の禁煙化など)や立法措置をほとんど行わず、結果として非喫煙者の権利を侵害している・たばこの害を作り出し、その有害性を公にしない専売公社も対象であるとみなしたからである。訴訟提起後、国鉄の列車の禁煙席設置や公共施設の分煙および禁煙化が進むようになる。


このように、当時いかに非喫煙者のうち嫌煙者にとって悲惨な状況であったか分かろう。

この訴訟が現在の公共施設、公共機関の禁煙、分煙の道筋をつけたという上で非常に重要であった。

しかし、当時の判決が凄まじく今読むと噴飯もの。

1987年3月27日東京地方裁判所判決では

① 国鉄以外にも交通手段は存在するので煙害を回避することは困難ではない。

②受動喫煙の害・不快感は認められるが、国鉄車内における受動喫煙は一過性であって受忍限度の範囲内である。

③日本社会が喫煙に寛容であることを判断基準にすべきである。

ことを理由に請求棄却となる。

①は、タバコの煙を吸いたくなければ、新幹線(および全ての列車)に乗るな、と言っているのに等しい。考えられない様な判決だ。

②は、東京大阪に新幹線で3時間くらいの間、タバコの煙、我慢できるでしょ!?、って言っている。裁判官が愛煙家ばっかりだったのではないか? 

③こそが、その当時の社会の世相だったわけだ。



ただし原告側は、訴訟以降に国鉄車両の禁煙車・席が増加した(35%が禁煙車両に)ことなどを判断し、実質的な勝訴とし控訴せず確定した。



当時からみれば現在は隔世の感がある。

しかし、まだまだ飲食店でのタバコの害に非喫煙者は悩まされ続けている。

昔の非喫煙者が裁判まで起こして苦労して勝ち取ってくれた嫌煙権を育てていかねばならない


アトムに始まったアニメも大部育った