2012年8月7日火曜日

ミトコン(18)家畜乙!

ミトコンドリアがいつ細胞の奴隷、家畜と化したかは諸説あるが、恐らくその鍵になるのがATP輸送タンパク質。

ミトコンドリアの外の細胞質からADPをミトコンドリア内に運び入れて、ミトコンドリア内部から細胞質にATPを輸送するアンチポーターと呼ばれる。

(ミトコンドリアATP/ADPトランスポーター)

ATP/ADPトランスポーター遺伝子は真核生物の宿主が発明した。


この遺伝子の発明により、宿主細胞はエネルギーをATPの形でミトコンドリアから汲み出すことが可能になった。これにより、主従の関係は決定的になった。


ATP:ADP比(ATPがどれだけADPに比べて多いか)を比べると

細胞質      ~15:1
ミトコンドリア内 〜2:1

と圧倒的に細胞質ではATPが多いのに対して、ミトコンドリア内ではそれに比べたら低い。
つまり、せっせとミトコンドリアがつくったATPを宿主が細胞質へとどんどん搾取しているのだ。

それ以外にも、宿主細胞は150種類もの物質輸送タンパク質をミトコンドリア膜上に送り込んで様々な物質をミトコンドリアから搾取しまくっている!



どちらが主か教えてやろうじゃないか、という宿主細胞の高笑いが聞えてくるぞ。


もはやこうなるとミトコンドリアは働く奴隷。


ここで思わず時代劇で悪代官のセリフ「百姓は生かさず殺さずじゃ、ふはははは」を想起する。



働いても働いてもその稼いだお金が吸い上げられて汲々としているどこかの亭主に似ている。あなたにお金を持たせても無駄遣いするだけだからと搾取され続けている。


(Fate Zeroより、無駄に強かった金ピカの子)


*もっとも、ミトコンドリア内部のATPが過剰となりADPが足りなくなると、電子伝達系の流れが滞り、ATP産生が低下するだけでなく活性酸素の発生が増加して細胞にダメージを与えることになるので、ミトコンドリアにとっても(宿主にとっても)あまりよくないのだけれども。


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