親族関係の同定等に。
ロシアロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世はロシア革命後レーニンによって家族ともども殺害された。そしてその遺体の所在が分からなくなった。
(ニコライ二世)
1991年にシベリアの墓地から掘り起こされた遺骨がニコライ二世のものであるか、DNA鑑定にミトコンドリアDNAが使われた。
しかし現存している親族と一致せずに、もっと不思議なことに2種類のDNAの配列が検出された。
実は、ニコライ二世は「ヘテロプラスミー」だったのだ。
ヘテロプラスミーとは、1つの細胞内に2種類以上のミトコンドリアDNAが混在している状態である。
実は、人類の少なくとも10%はヘテロプラスミーであることが分かってきている。
ヘテロプラスミーの原因には2つある。
①父親由来のミトコンドリアDNAの侵入。
②後天的に体細胞中に起きたミトコンドリアDNAの変異。
後者に関しては、活性酸素による攻撃により、ミトコンドリアDNAは核ゲノムに比べて変異が多いことを思い出して欲しい。
ヘテロプラスミーはしばしば、ミトコンドリア脳筋症のような病気を引き起こすためそれとわかる。
しかし大多数はそのような病気が現れず、異なるミトコンドリアDNAをもつと必ずしも病気になるとは限らないということである。とは言うものの、どのような2種類のDNAかにもよるだろうし、やはり2種類のミトコンドリアDNAが1つの細胞内に混在しているのは好ましいことではない。
ミトコンドリアDNAの変異(速度)は核ゲノムDNAの変異に比べて20倍高い。
しかし、これは過小評価されていることが分かっている。
ミトコンドリアDNAを失っても死なない酵母を用いた実験から、ミトコンドリアDNAの変異が10個〜1000個に1個の割合で生ずることが判明した。
一方、核に変異は通常条件では細胞1億個につき一個の細胞の割合で生ずる。
このように、ミトコンドリアDNAの変異は核DNAの変異より10万倍以上も速く蓄積する。
ではなぜ、これまで変異速度が20倍とされてきたのか。
通常、ミトコンドリアの変異がミトコンドリアの機能を損なうものであれば、生殖細胞なり、個体の段階で死んでしまうから、生きている生物だけから判断すると間違った結論に至るのである。死人に口無し。
(魂魄妖夢、死人に口無しだわ)
ヒトの場合も、年齢とともにミトコンドリアDNAの変異が増加し、高齢者の組織では50%以上のミトコンドリアで変異している(一方、若齢者ではほとんど見られない)。
ミトコンドリアDNAの変異が老化の原因であるのか、ただ単に独立して起こる現象なのか、もしくは結果であるのかに関しては、まだ議論が盛んになされている。
(以下次号)
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