2012年8月28日火曜日

最強の猛毒は?(1)テトロドトキシン

毒は、被補食生物が身を守るために身につけたもの(キノコ毒など)と捕食者が被捕食者をしとめるために開発したものとある(蛇毒など)。

その他にも微生物が他生物を排除したり、積極的に利用したりして、テリトリーを確保するために作り出す毒もある。

下痢をさせる病原菌が多いのは、辺り構わず便とともに排泄させ分布域を広げたいがため。
かといって、それで宿主を衰弱死させたら病原菌も宿主が少なくなって困る。

病原性大腸菌の0157がまたぞろニュースで聞かれるが、宿主を倒してどないすんねん。
アホなやつ。

毒は生物学を発展させてきた(毒理学、毒性学という分野がある)。


毒がどんな分子をターゲットにするのか、そのしくみを解明することで本来の細胞の働きが理解できる。
さらに細胞のしくみを解明するのに、またそれが薬として利用されている。


日本人に馴染みのある毒と言えば、フグ毒。

昔から日本人にその猛毒で怖れられてきた。






フグの内臓、特に肝臓と卵巣に含まれており、フグの調理は素人がやってはいけない。
各都道府県の条例で細かくフグの調理について定められている。
フグの内臓を廃棄するにも、流しの三角コーナーに捨てては勿論ダメ。
かぎつきの保管庫に捨てる。


その毒、テトロドトキシンは日本人が単離し構造決定している。




マウスの経口投与で急性毒性は0.01 mg/kg(LD50、致死率50%となる量)である。
たったの0.5 mgで50 kgの体重のヒトが死に至る。
これは、青酸カリの800倍の強さ。

フグ自身が毒をつくっているわけではなく、餌由来と考えられているが定かではない。
養殖で餌を管理すれば安全なはずだが、どうも完全ではないらしい。

テトロドキシンは骨格筋や神経の膜電位依存性ナトリウムイオンチャネルに結合し、チャネル内へのナトリウムイオンの流入を阻害して神経伝達を遮断する神経毒として作用する。そのため、脳からの命令が呼吸器系に届かず呼吸停止に至る。苦しそう。

人間の欲望の前には、折角、毒を進化させたフグも食われてしまう。

(北斗の拳より、ハート様もこの後解体されます)

厚生省が日本にいる生物の毒についてまとめている。


http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/

しかし、この猛毒のテトロドトキシンを上回る毒が自然界にはある。
(以下次号)

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